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『親子そば三人客』 従吾所好
「いゝえさ、腹をお立てなさらねえで、何うでございませう。御都合はまゝあることなり潔白に然うやつて形を置いて行つて遣らうとおつしやる、其のお心は読めました、読めましたが相談でさ、唯〈たツ〉た今ソレ壜が破れて酒がこぼれたでがす、内の奴も希有なこツたといひまさ。
此処で、私も心持が悪くツてなりません、吉左右だとは誰が考へても思へますまい、いや、詰まらないことでもあると気になりますわ。
処を一ツ勘定を踏んで下さりや、はゝあ、今夜これだけの損のゆく、其の前兆であつたにして、さて、さらりと事済み、何うでございませう。え、もし、」
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