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 『人魚の祠』 青空文庫

 少し高過ぎるくらゐに鼻筋がツンとして、彫刻か、練《ねり》ものか、眉、口許《くちもと》、はつきりした輪郭と云ひ、第一桜色の、あの、色艶が、――其が――今の、あの電車の婦人に瓜二つと言つても可い。
 時に、毛一筋でも動いたら、其の、枕、蒲団、掻巻の朱鷺色《ときいろ》にも紛ふ莟とも云つたの女は、芳香を放つて、乳房から蕊《しべ》を湧かせて、爛漫として咲くだらうと思はれた。」

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