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 『義血侠血』 青空文庫

 やがて銅貨三銭をもって隗より始めつ。帽子を脱ぎてその中に入れたるを、衆人《ひとびと》の前に差し出して、渠はあまねく義捐《ぎえん》を募れり。
 あるいは勇んで躍り込みたる銅あり。あるいはしぶしぶ捨てられたる五厘もあり。ここの一銭、かしこの二銭、積もりて十六銭五厘とぞなりにける。
 美人は片すみにありて、応募の最終なりき。隗の帽子は巡回して渠の前に着せるとき、世話人は辞《ことば》を卑《ひく》うして挨拶せり。

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