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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
「それは、お豪い。」
「何聞く方の耳が鳴るんでしょうから、何事も
ありません
、茄子《なすび》の鳴くわけはないのですから。
それでも爺さんは苦切《にがりき》って、少《わか》い時にゃ、随分悪物食《あくものぐい》したものだで、葬い料で酒エ買って、犬の死骸なら今でも食うが、茄子の鳴くのは厭だ、と言います。
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