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 『親子そば三人客』 従吾所好

 処を一ツ勘定を踏んで下さりや、はゝあ、今夜これだけの損のゆく、其の前兆であつたにして、さて、さらりと事済み、何うでございませう。え、もし、」
「馬鹿に、馬鹿にしやがんない、誰だと思ふ、誰だと思ふ藤助だ。恁う、藤助を誰だと思ふ、」深く憤つた風もないが、だらしもなう縺れかかる。
 ト白けて皆が黙りの折から、ぞろオリ/\と高い音、此の時まで伸して居た、件の影のやうな壮佼が、思ひ出したやうに啜つたのである。

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