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 『五大力』 従吾所好

「此の間九段坂で、大先生がお怪我をなすつた時、車を飛ばして通り掛つて、……お勦〈いたは〉り申して、下駄まで拾つて、お世話をした、其の美人なんです。……」
「皆が評判でした、あの日、能楽堂へ来て居て、其の帰途だつたさうですよ。」
「直ぐに、翌日から毎日のやうに、お宅へお見舞に来るんですがね、先生が、よく礼を云へ、とおつしやるばかりで、叔母さんと、お縫さんに、玄関で立切らせて、何うしてもお逢ひなさいません。」

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