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 『婦系図』 青空文庫

 何が大丈夫だか、主税には唐突《だしぬけ》で、即座には合点《がってん》しかねるばかり、お蔦の方の意気込が凄《すさま》じい。
 まだ、取留めた話ではなし、ただ学校で見初めた、と厭らしく云う。それも、恋には丸木橋を渡って落ちてこそしかるべきを、石の橋を叩いて、杖《ステッキ》を支いて渡ろうとする縁談だから、そこいら聴合わせて歩行《ある》く中《うち》に、誰かの口でを注《さ》せば、直ぐに川留めの洪ほどに目を廻わしてお流れになるだろう。

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