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『親子そば三人客』 従吾所好
「馬鹿に、馬鹿にしやがんない、誰だと思ふ、誰だと思ふ藤助だ。恁う、藤助を誰だと思ふ、」深く憤つた風もないが、だらしもなう縺れかかる。
ト白けて皆が黙りの折から、ぞろオリ/\と高い音、此の時まで伸して居た、件の影のやうな壮佼が、思ひ出したやうに啜つたのである。
「御主人、ともかくもまあ、其の事は気にしないが可い、壊れた分は私が買つた分にして、代を払ひませう、別に。で、私が買つたものとすりや、お前さんが心持を悪くするにも当るまい。何うです、」
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