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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
「それは私も御同然です。人の住むのが気に入らないので荒れるのだろうと思いますが。
そこなんです、貴僧《あなた》。逆《さから》いさえしませんければ、畳も行燈も何事もないのですもの。戸障子に不意に火が附いて其処いらめらめら燃えあがる事がありましても、慌てて消す処は破れ、
水
を掛けた処は濡れますが、それなりの処は、後で見ますと濡れた様子もないのですから。
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