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『龍潭譚』
青空文庫
坂もおりたり、のぼりたり、大路と覚しき町にも出でたり、暗き径《こみち》も辿りたり、野もよこぎりぬ。畦も越えぬ。あとをも見ずて駈けたりし。
道いかばかりなりけむ、漫々たる
水
面やみのなかに銀河の如く横《よこた》はりて、黒き、恐しき森四方をかこめる、大沼とも覚しきが、前途《ゆくて》を塞ぐと覚ゆる蘆の葉の繁きがなかにわが身体《からだ》倒れたる、あとは知らず。
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