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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「なかなか、逆らいます処《どころ》ではございません、座敷好みなんぞして可いものでございますか。
 あの襖を振向いて熟《じっ》と視ろ、とおっしゃったって、容易にゃ其方も向けません次第で、御覧の通り、早や固くなっております。
 お話につけて申しますが、実は手前もこの黒門を潜りました時は、草に支えて、しばらく足が出ませんでございました。

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