検索結果詳細


 『木の子説法』 青空文庫

 変に物干ばかり新しい、妻恋坂下へ落ちこぼれたのも、洋服の月賦払《げっぷばらい》の滞《とどこおり》なぞから引《ひっ》かかりの知己《ちかづき》で。――町の、右の、ちゃら金のすすめなり、後見なり、ご新姐の仇《あだ》な処をおとりにして、碁会所を看板に、骨牌賭博《かるたばくち》の小宿《こやど》という、もくろみだったらしいのですが、碁盤の櫓《やぐら》をあげる前に、長屋の城は落ちました。どの道落ちる城ですが、その没落をはやめたのは、慾《よく》にあせって、怪しい企《たくらみ》をしたからなんです。

 87/231 88/231 89/231


  [Index]