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『夜叉ヶ池』 青空文庫
学円 いや、髪の色を見るように。
百合 もう、年をとりますと、花どころではございません。早く干瓢《かんぴょう》にでもなりますれば、……とそればかりを待っております。
学円 小刀《ナイフ》をこれへお遣わし……私《わし》が剥《む》きます。――お世話を掛けてはかえって気遣いな。どれどれ……旅の事欠け、不器用ながら、梨《なし》の皮ぐらいは、うまく剥きます。おおおお氷よりよく冷えた。玉を削るとはこの事じゃろう。
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