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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 あの白粉の花は見事です。ちらちら紅色のが交って、咲いていますが、それにさえ、貴方、法衣《ころも》の袖の障るのは、と身体《からだ》をすぼめて来ましたが、今も移香《うつりが》がして、憚《はばかり》多い。
  もと花畑であったのが荒れましたろうか。中に一本、見上げるような丈のびた山百合のいのが、うつむいて咲いていました。いや、それにもまた慄然《ぞっ》としたほどでございますから。

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