検索結果詳細


 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

  もと花畑であったのが荒れましたろうか。中に一本、見上げるような丈のびた山百合の白いのが、うつむいて咲いていました。いや、それにもまた慄然《ぞっ》としたほどでございますから。
 何事がございましょうとも、自力を頼んで、どうのこうの、と申すようなことは夢にも考えてはおりません。
 しかし貴下《あなた》は、唯今うけたまわりましたような可恐《おそろし》い只中に、能く御辛抱なさいます、実に大胆でおいでなさる。」

 887/1510 888/1510 889/1510


  [Index]