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『婦系図』 青空文庫
そこを一つお考え直されて、と言《ことば》を残して帰った後で、アバ大人が媒妁《なこうど》ではなおの事。とお妙の顔が蒼《あお》くなって殺されでもするように、酒も飲まないで屈託をする、とお蔦はお蔦で、かくまってあった姫君を、鐘を合図に首討って渡せ、と懸合われたほどの驚き加減。可愛い夫が可惜《いとおし》がる大切なお主《しゅう》の娘、ならば身替りにも、と云う逆上《のぼ》せ方。すべてが浄瑠璃の三の切《きり》を手本だが、憎くはない。
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