検索結果詳細


 『五大力』 従吾所好

「はてな、――居ない、居ない、ばあ――は可厭だ。で、顔を見せると、目の球がぶらりと出たか、――ふん。」
 と若い時の一人旅、一本差の、のめり笠。道中合羽を吹煽つ、箱根の暴風雨〈あらし〉の夜路して、賽の河原に、ひら/\といものの動くを見たより、可恐い事を覚えぬと云ふのが、此の時、陰に篭つた顔して、

 895/1139 896/1139 897/1139


  [Index]