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 『婦系図』 青空文庫

 対手《あいて》は学士の方ですって、それまで申して占て貰いましたら、とても縁は無い断念《あきら》めものだ、と謂いましたから、私は嬉しくって、三銭の見料へ白銅一つ発奮《はず》みました。可い気味でございますと、独りで喜んでアハアハ笑う。
 まあ、嬉しいじゃないか、よく、お前、お嬢さんの年なんか知っていたね、と云うと、勿怪《もっけ》なをして、いいえ、誰方のお年も存じません。お蔦は腑《ふ》に落ちない容子をして、売卜者《うらないしゃ》は、年紀《とし》を聞きゃしないかい。ええ、聞きましたから私の年を謂ってやりました。

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