検索結果詳細


 『五大力』 従吾所好

「あゝ、寒い。」
 と車の上でい呼吸〈いき〉。樹から落ちた其の烏のやうに、黒い外套の袖を窘〈すく〉めて乗つて、現々〈うと/\〉と睡つて居たのが、いま宮の前を越した処で、車が不意に留つたので、はつと冷い観世紙捻〈くわんぜより〉で、鼻を突かれた体に目を覚ました、我家の門〈かど〉だと思つたらう。

 8/1139 9/1139 10/1139


  [Index]