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 『人魚の祠』 青空文庫

 私は、黙つて工学士の其の顔を視た。
「まさかとは思ひますが。」
 赤坂の見附《みつけ》に近い、唯《と》ある珈琲店の端近《はしぢか》な卓子《テエブル》で、工学士は麦酒《ビイル》の硝子杯《コツプ》を控へて云つた。

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