検索結果詳細


 『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径

 今朝東京なる本郷病院へ、呼吸《いき》も絶々《たえ/゛\》に駈込みて、玄関に着くとそのまゝ、打倒れて絶息したる男あり。年は二十二三にして、扮装《みなり》は好《よ》からず、容貌《かほかたち》太《いた》く憔《やつ》れたり。検死の医師の診察せるに、こは全く病気の為に死したるにあらで、何にかあるらむ劇しき毒に中《あた》りたるなりとありけるにぞ、棄て置き難しと警官が不取敢《とりあへず》招寄せたる探偵はこの泰助なり。

 8/219 9/219 10/219


  [Index]