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『義血侠血』
青空文庫
「馬車はいかがです。むちゃに廉くって、腕車《くるま》よりお疾うござい。さあお乗んなさい。すぐに出ますよ」
甲走《かんばし》る声は鈴の音よりも高く、静かなる朝の街に響き渡れり。通りすがりの婀娜者《あだもの》は歩みを停めて、
「ちょいと小僧さん、石動までいくら? なに十銭だとえ。ふう、廉いね。その代わりおそいだろう」
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