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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 随分と御遠方、わざわざ拾いにござらして、力を落す方がござりますので、こうやって近間に店を出しておりますから、朝晩汐時を見ては拾って置きまして、お客様には、お土産かたがた、毎度婆々が御愛嬌に進ぜるものでござりますから、つい人様が御存じで、葉山あたりから遊びにござります、書生さんなぞは、
 (婆さん、子は要らんが、女親を一つ寄越せ。)
 なんて、おからかいなされまする。

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