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『婦系図』
青空文庫
当前《あたりまえ》よ、対手が学士でお前じゃ、と堪りかねて主税が云うのを聞いて、目を〓《みは》って、しばらくして、ええ! 口惜《くやし》いと、台所へ逃込んで、売卜屋の畜生め、どたどたどた。
二人は
顔
を見合せて、ようように笑《わらい》が出た。
すぐにお蔦が、新しい半襟を一掛《ひとかけ》礼に遣って、その晩は市が栄えたが。
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