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『五大力』 従吾所好
「おい/\、」……と鼻をかんだのを見る、と翁寂びたのがうら寂しく、引入れられて色を沈めた。
「化ものぢやありません。其の婦は気が違つて居るんです、――世間体は、たゞ病気のために、久しく芝居の方も休んでる事に成つて。――
尤も予て病身な所から、深川の木場の可恐く娑婆気な、年紀の少〈わか〉い材木問屋が、不断、色気離れた……と云ふのに詮索は要りません、……大贔屓な処から、それ/\へ運びを附けて、木場の其の自宅の何です、数寄を凝らした離座敷と云つた所で、養生をさせました。湯治場廻りも飽いたと云ふので――
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