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『日本橋』
青空文庫
「嚔をさしたれ。」
と、含羞んだ若い妓の、揃った目鼻の真中を狙って――お螻の虫が、もじゃもじゃもじゃ。
「へッくしょ。」と思わず唐突に陽炎を吸って咽せた……飴屋の地蔵は堪らなそうに鼻を撫でる。当の狙われた若い妓は、はッと顔を背けたので、笹葉は片頬外れに肩へ辷って、手を払って、持ったのを引払われて、飴の鳥はくしゃん、と潰れる。
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