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 『化鳥』 青空文庫

またを出して窓から川を見た。さつきは雨脚が繁くつて、宛然《まるで》、薄墨で刷いたやう、堤防《どて》だの、石垣だの、蛇籠《じやかご》だの、中洲に草の生へた処だのが、点々《ぽつちり/\》、彼方此方《あちらこちら》に黒ずんで居て、それで湿《しめ》つぽくツて、暗かつたから見えなかつたが、少し晴れて来たからものゝ濡れたのが皆見える。

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