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 『日本橋』 青空文庫

 と、投げたように、袖を払って、拗身に空の雁の声。朧を仰いで、一人|立停った孫権を見よ。英気|颯爽としてむしろ槊を横えて詩を赤壁に賦した、白面の曹操の概がある。
 前へ行く二人の影に、その通る声で、こっちから、
「通越し。」

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