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 『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫

 と言うと、次の間の――崖の草のすぐ覗く――竹簀子《たけすのこ》の濡縁《ぬれえん》に、むこうむきに端居《はしい》して……いま私の入った時、一度ていねいに、お時誼《じぎ》をしたまま、うしろ姿で、ちらりとい小さなもの、年紀《とし》ごろで視て勿論お手玉ではない、糠袋か何ぞせっせと縫っていた。……島田髷《しまだ》の艶々しい、きゃしゃな、色白な女が立って手伝って、――肥大漢《でっぷりもの》と二人して、やがて焜炉《こんろ》を縁側へ。……焚つけを入れて、炭を継いで、土瓶《どびん》を掛けて、茶盆を並べて、それから、扇子《おおぎ》ではたはたと焜炉の火口《ひぐち》を煽ぎはじめた。

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