検索結果詳細
『高野聖』
泉鏡花を読む
思切つて坂道を取つて懸つた、侠気があつたのではござらぬ、血気に逸つたでは固よりない、今申したやうではずつと悟つたやうぢやが、いやなか/\の臆病者、川の水を飲むのさへ気が怯けたほど生命が大事で、何故又と謂はつしやるか。
唯挨拶をしたばかりの男なら、私は実の処、打棄つて置いたに違ひはないが、快からぬ人と思つたから、其まゝで見棄てるのが、故とするやうで、気が責めてならなんだから、」
94/622
95/622
96/622
[Index]