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『日本橋』 青空文庫
「可愛いわね。」
それを透かして、写絵の楽屋のごとき、一筋のかんてらに、顔と姿の写るのを、わざと立淀んで、お孝が視めて、
「ねえ、ちょいと。……生意気盛りの、あの時分じゃ、朋輩の見得や、世間への外聞で、抱主の台所口へ、見すぼらしい親身のものの姿が見えると、つんと起って、行きもしないお稽古だの、寝坊が朝湯へ行き兼ねないのに、大道さなか、(お爺さん。)――ええ、お千世はあの人の孫なのよ、――可愛ッちゃないのねえ。」
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