検索結果詳細


 『縁結び』 青空文庫

「本来なら、こりゃお前さんがたが、客へお世辞《せじ》に云う事だったね。誰かに肖《に》ていらっしゃるなぞと思わせぶりを……ちと反対《あちこち》だったね。言いました。ああ、肖ている、肖ているッて。
 そうです、確《たしか》にそう云った事を覚えているよ。」
 お君は敷《し》けと云って差出された座蒲団《ざぶとん》より膝薄《ひざうす》う、その傍《かたわら》へ片手をついたなりでいたのである。が、薄化粧《うすげしょう》に、口紅《くちべに》濃《こ》く、目のぱっちりした顔を上げて、

 95/405 96/405 97/405


  [Index]