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 『春昼後刻』 泉鏡花を読む

 と棄鞭の遁構へで、駒の頭を立直すと、なほ打笑み、
「そりや知れますわ。こんな田舎ですもの。而して御覧の通り、人通りのない処ぢやありませんか。
 貴下のやうな方の出入は、今朝ツからお一人しかありませんもの。丁と存じて居りますよ。」

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