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 『五大力』 従吾所好

 霞は又、予て気にする処から、遊女の其の目のぶら下る病気つてのを、――止せば可に、医師にも熟〈よ〉く聞き/\すると、はじめは心臓病ででもあるかと思ふ、激しい動悸で、其の動悸で、血も肉もふるひ落して、脳の奥から、トン/\と、恁う日に増し前の方へ目の球を突出すやうに成るんだ、……と其を知つて居たもんですから、鎮まらない動悸を気にして、目を突出す、目を突出すつて泣いたんですつてね。
 成程、今以て、鎮まらない。しさは尚増したつて云ふのに、動悸ばかりは、寝て居る時も、手の先へ伝つて、指が横刻みにぶる/\。」
 あゝ、悪い事を云つた……

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