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 『五大力』 従吾所好

 頷くのが病気らしく、顔がふら/\と横に揺れて、
「はあ、手がぶる/\……」
 と釣込まれた体に、孫六は着膨れた折目の正しい、無地の一楽の袖を衝と開いて肱を張る、ト衣紋に屹と添ふ手練の位。舞扇を手に恁う指さば、月も花も誘ふべし、龍宮の浪も巻くべく、鬼神の影も宿さむを、何事ぞ、袖口に手はすくんで、指はぶる

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