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 『婦系図』 青空文庫

 お妙さんがまた、あの目で笑って、お小遣いはあるの? とは冷評《ひやか》しても、どこかへ連れられるのを厭味らしく考えるような間《なか》ではないに、ぬかったことをしたよ。
 なぞと取留めもなく思い乱れて、凝《じっ》とその大吉を瞻《みつ》めていると、次第次第に挿画《さしえ》の殿上人に髯が生えて、たちまち尻尾のように足を投げ出したと思うと、横倒れに、小町の膝へ凭《もた》れかかって、でれでれと溶けたが、河野英吉に、寸分違わぬ。

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