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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 その後、旅行をして諸国を歩行《ある》くのに、越前の木の芽峠の麓で見かけた、炭を背負《しょ》った女だの、碓氷を越す時汽車の窓からちらりと見ました、隧道を出て、衝と隧道を入る間の茶店に、うしろ向きの女《むすめ》だの、都では矢のように行過ぎる馬車の中などに、それか、と思うのは幾度も見かけたんですが……その熊の時のほど、印象のよく明瞭に今まで残ってるのはないのです。
 内へ帰って、
   (美しき君の姿は、

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