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 『春昼後刻』 泉鏡花を読む

 貴下のやうな方の出入は、今朝ツからお一人しかありませんもの。丁と存じて居りますよ。」
「では、あの爺さんにお聞きなすつて、」
「否、私ども石垣の前をお通りがかりの時、二階から拝みました。」

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