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 『日本橋』 青空文庫

「秘さずとも可い。な、阿爺どの。お前は何だ、内の千世の奴の親身でしょうが。孫娘に用が有って逢いに来たことが二三度あるです、で、俺は知っとるですわい。お前は何か、しかし俺の顔は知らんですか。」
 と釜底帽、一名(のっぺらぼう。)とも云わるる、青ぺらの鍔を※り上げて、引傾げて剥いで見せたは、酒気も有るか、ら顔のずんぐりした、目の細い、しかし眉の迫った、その癖、小児のような緊の無い口をした血気|壮の漢である。

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