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【ぱられる☆あくあZone:和港 由海・第0話☆自己紹介】

僕の名前は和港 由海(わこう ゆかい)。「ゆかい」だなんて愉快な名前でしょ?
でも、良く「よしうみ」とか「よしみ」って読まれちゃうんだよね、この名前。
7月20日(海の日)生まれの13歳で、現在、塩見中学の1年5組。血液型はB型RH+。
身長139cm、体重25kg。実は、隣の家の小学生の方が僕よりも大きかったりする。
小学校を卒業してから塩見町に引っ越して来たんで初めは友達がいなかったけど、
今は、みやうとか、はしもとか、長沼くんとか友達はいっぱいいる。
女の子にも人気があるんだ。よく「かわいー」って言われたり、頭を撫でられたりするんだよ。
…でも、コレって、完全に弟かマスコット扱いだよね。まぁ、いーか。

【第0話☆自己紹介 −おわり−】

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【ぱられる☆あくあZone:和港 由海・第1話☆クリスマス会1】

12月25日。今日は終業式!!
朝、学校に来ると、階段のところに優ちゃんとまりりんとぶーこの3人がいた。
「えっ!? タカちゃんに言ったのぉ!?」
ぶーことまりりんが口を揃えて声を上げる。
???
一体、何のことだろ?
「え? え?」
「もぉ〜〜っ クリスマス会のこと教えちゃたのぉ?」
「なんで言うんだよー」
戸惑う優ちゃんをまりりんとぶーこが責め立ててる。
なるほどね。クリスマス会の相談か。
それにしても、タカちゃん、あんまり歓迎されてないみたい。
一応は友達なんだから嫌がらないで一緒にクリスマス会すればいいのに…。
「だ…だってタカちゃん去年も来たし…」
優ちゃんが困惑しながら弁解する。
「あーあれ?」
「あれは…な――」
「だから去年のクリスマス会の時はぁ… タカちゃんさぁ」
優ちゃんの言葉にまりりんとぶーこが顔を見あわす。
そして、まりりんが優ちゃんに去年のクリスマス会の話をした。
どうやら、去年のクリスマス会はタカちゃんが呼んでもないのに勝手に来て、
ワガママほーだいやった上に、ケーキをひっくり返して逆ギレしちゃったみたい。
「あーゆーのってあんまりいい気もちしねーだろ?」
「だから今年はタカちゃん呼ぶのやめよーって言ってたのぉ…」
と、ぶーことまりりん。
確かに、そんなことがあったんじゃあ呼びたく無くなるのも当然かな。
でもタカちゃん、本当は悪かったって思ってるんだろーなー。
あれでけっこう正義感が強いところがあるんだよね。
「え〜〜でもそーゆーのって…
 なんかやだよー 仲間はずれにしてるみたいで」
そう言って渋る優ちゃん。
「え〜〜そんなこと言ったってぇ…
 みんなイヤがってるしぃ 男子たちだってタカちゃんのこときらってるんだよぉ〜〜」
「え…」
「そーよぉ長沼くんだってきっときらってるよぉ〜〜」
うっわー、タカちゃん、酷い言われよう。
僕は別にタカちゃんのことは嫌いじゃないんだけどなぁ…。
まりりんがタカちゃんを嫌ってるだけなんじゃあ…?
「で…でももうタカちゃんに言っちゃったよ――」
と優ちゃんは困り顔。
「う――ん…
 そんじゃさータカ子にはクリスマス会なくなったってことにしよーぜ」
「えーそんなのうまくいくかなぁ」
ぶーこの提案にまりりんが疑問を抱く。
「うまくいかすんだよ
 もー去年みたいなことイヤだろ?」
「そぉよねっ!」
あ。まりりん、あっさり押し切られちゃった。
でも、優ちゃんはこの相談中、ずっと不安そうにしてる。
きっと、『仲間はずれってやだなー』とか思ってるんだろーなー。
「…とゆーわけでタカちゃんには中止になったって言ってね」
「え゛――っ!?」
まりりんに実行役を押しつけられて、優ちゃんは案の定、思いっきり嫌がる。
優ちゃんってハッキリ物が言えない性格だし、真面目で優しいから、
罪悪感感じちゃってちゃんと言えないんじゃないかなぁ…。
なんて考えてると、
「あっれー、ユカイじゃんか」
ぶーこが僕に気付いて声をかけてきた。
「やぁ。おはよー」
僕は片手を軽く上げて挨拶する。
もしかして僕がずっと話を聞いてたのに気付かなかったのかな?
「あっ、そうだ! 明日クリスマス会をやろうって話してたんだけど、
 和港くんも来ない?」
「あれ? 明日のクリスマス会は中止になったんじゃないの?」
まりりんのお誘いに僕は皮肉半分に答えた。
僕自身、小学校の時はいじめられっこだったから、こういう仲間はずれとかイヤなんだ。
それで、つい、事情がわかっていても、非難の気持ちが皮肉になって混ざっちゃう。
「あ。今までの聞いてたのー?
 あたしたちがこんなこと話してたなんてタカちゃんに言っちゃダメだよ」
ありゃりゃ。まりりんには皮肉がわからなかったみたい。
「別に約束してもいいけど、どっちにしろ自分一人のけ者にされたとわかれば、
 タカちゃんすっごく怒ると思うよ」
「だいじょーぶだって。言わなきゃわからないよぉ、そんなの」
 で、明日は来るの? 来ないの?」
「明日は海洋生物研究部のクリスマス会があるから行けないんだ。ゴメンね」
「なんだ。そーなの。ちょっと残念」
「じゃあ、かわりにタカちゃんでも呼べば?」
「それは…ちょっと…」
まりりんが引きつった笑みを浮かべる。

う〜ん、まりりんたちのクリスマス会、どーなっちゃうんだろう…?
なんだかすっごくイヤな予感がするなぁ…。

【第1話☆クリスマス会1 終わり】

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【これまでのあらすじ】
 まりりんたちの明日のクリスマス会に優ちゃんがタカちゃんを呼んでしまったらしい。
 タカちゃんを呼ばないつもりだったまりりんとぶーこは
 タカちゃんにはクリスマス会がなくなったことにして誤魔化そうとし、
 2人は優ちゃんにそのことをタカちゃんに言う役を押しつける。
 そのことを知った由海はまりりんたちのクリスマス会の先行きに一抹の不安を覚えるのだった。

【ぱられる☆あくあZONE 和港 由海:第2話 クリスマス会2】

「さぁーておまちかねの通知表をわたすぞー」
井川先生がとびきり嫌味っぽいニヤけた笑いを浮かべてそれを教卓の上に置く。
「げー」
どこからともなく、と言うよりも、クラス全体からイヤそ〜な声が上がる。
ドキドキ、ドキドキ・・・
胸の鼓動が早くなる。
やっぱり通知表って何回もらっても慣れない。
はっきり言って下手なお化け屋敷やホラー映画よりよっぽど怖い。
ドキドキ、ドキドキ・・・
あー、不安だよぉー、怖いよぉー。
暖房のおかげで教室は暑いぐらいなのに、身体は芯からガタガタ震えてくる。
う〜。

「和港!」
・・・・!
ついに僕の名前が呼ばれる。
ドキドキ、ドキドキ・・・
・・・えーい勇気!
意を決し僕は席を立つ。
恐る恐る通知表を受け取り、中を覗く。
ほっ。
あぁ、よかった。悪くなくて。
まずは一安心♪
見れば、長沼くんとハシモとみやうが3人で通知表を見せっこしていたので、
僕もさっそくそれに加わることにした。

それからしばらく長沼くんたちと話しこんでいると、
ふと、視界に優ちゃんとタカちゃんの姿が飛びこんで来た。
そーだ、すっかり忘れてた。
優ちゃん、ちゃんとタカちゃんにちゃんと言ったのかな、クリスマス会のこと。
あ。今、ちょうど、その話をしてるみたい。
「・・・・・」
「・・・・・」
「じゃさその日あたしと優ちゃんだけでクリスマス会しない?」
「え!?」
「なによイヤなの?」
「イ・・・イヤじゃない・・・けど」
「じゃ決まりね決まり!」
ウィンク一つして、優ちゃんの元から去ってくタカちゃん。
そして、それを困った顔をして見送る優ちゃん。
あっちゃー、やっぱりダメだったみたい。
しかも、最悪の展開になってるし。
ひょっとして何とかしてあげた方がいいのかなぁ?
などと考えているうちに放課後になってしまい、
結局、何もしてあげられないまま、二学期は終了してしまった。
情けないなぁ、僕・・・。

【第2話 クリスマス会2 終わり】

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【ぱられる☆あくあZONE 和港 由海:第3話 クリスマス会3】

夕方。
明日の海洋生物研究部のクリスマス会のパーティグッズの調達にデパートに行った帰り道。
「ちょっと買い過ぎちゃったかなぁ?」
「足りないよりマシだよ」
「そーだね。
 あっそうだ! ねぇねぇ、ついでに明日のプレゼント、買いに行こーよ!」
「うん。そーしよっか」
一緒に話してるのは僕と同じ海洋生物研究部員で1年1組の「くらげちゃん」こと水母海月(みなも みづき)ちゃん。
ニックネームの「くらげちゃん」の由来は本名が「くらげ くらげ」って読めるから。
変なニックネームなんだけど、本人は”クラゲらぶらぶ〜(はあと)”だからすっごく気に入ってるみたい。
そうそう、くらげちゃんの好きなクラゲはスタンダートだけどミズクラゲなんだって。
アカクラゲの仲間のシーネットルも好きらしいけど。
僕はクラゲより深海魚が好きなんだけど、クラゲだったらゾウクラゲが好きかな。
と、思ったけど、ゾウクラゲってクラゲじゃなくて巻き貝の仲間だったっけ。
だったら、タコクラゲかな。特にジェリーフィッシュレイクっていうトコに居るやつ。
体内に共生してる褐藻から栄養を貰って、物を食べないってのが平和的でいいよね。

それはさておき、僕とくらげちゃんが明日のクリスマス会でのプレゼント交換用のプレゼントを買いに行く途中、
スーパーからタカちゃんが出てくるところにバッタリ出くわした。
「あ、タカちゃん」
僕が呼びかけるとタカちゃんは気付いて僕の方を見る。
そして、僕とくらげちゃんの姿を見てニヤニヤと笑みを浮かべる。
「へぇ〜、和港くんはデートなんだぁ。なかなかスミに置けないじゃん」
「え。違うよ〜」
僕は手をパタパタと振る。
くらげちゃんとは仲は悪くはないけど、やっぱり、ただの部活の友達だし、僕にとっては半分天敵のような娘だからね。
「そうそう、ユーミちゃんとは明日の部活のクリスマス会の買い物してるだけだよ」
くらげちゃんもにこやかに否定する。
「・・・ユーミちゃん?」
タカちゃんが訝しげな顔をする。
・・・・・・
うっ。
か・な・り・マ・ズ・イ…。
冷や汗たらたら。
「ユーミちゃん」と言うのは、くらげちゃんがつけた僕のあだ名。
でも、女の子みたいでかなり恥ずかしいからすっごくイヤなんだ。
それに、みんなにこんなあだ名が知れたら、絶対にバカにされるだろーし。
今のところは、部活のみんな以外には何とか隠し通してるんだけど・・・。
「そ、そういえばさ、ほら、あの・・・」
話題の転換をはかろうと思ったけど、気が動転して話題が見つからない。
あぁぁぁぁ、落ちつけぇ、落ちつくんだ由海!
何かある、きっと何かあるはずだ!
え〜と、え〜と。
そ、そうだ!
その瞬間。
「ほら、和港くんの名前の「由海」って、「ゆ・うみ」って読めるでしょ?
 だからユーミちゃん。あたしがつけたんだ。カワイイでしょ?
 ウチの部の人はみんなユーミちゃんって呼んでるんだよ」
・・・・・・・・
くらげちゃんの言葉に僕の時間が止まった。
・・・・・・・・
「ぷっ。
 なかなかカワイイんじゃない。ユーミちゃんなんて」
タカちゃんの言葉にはっと我にかえる。
「は・・はは・・・・」
もう笑って誤魔化すしかない。
ま、まぁ、まりりんじゃ無かっただけましだよ・・・ね。
まりりんに知れたらきっと何言ってもみんなに言いふらしちゃうだろうからね。
「じゃあ、あたしもユーミちゃんって呼んじゃおっかなー」
タカちゃんがちょっと意地悪っぽく笑う。
ちょ、ちょっと待って。
タカちゃんがみんなの前で僕をユーミちゃんって呼べば、結局みんなに知られちゃうじゃん!
「そ、それだけはヤメて!」
僕は慌てて手を合わせてタカちゃんにお願いする。
そんな僕の様子にタカちゃんはクスクスと笑う。
「うそうそ、ジョーダンだって!」
そのわりには全然、冗談に聞こえなかったんだけど・・・。
でも、まぁ、とにかくよかった♪
「ほっ・・・。
 そうだ。できればこのあだ名のことはみんなに黙っててくれないかな?
 恥ずかしいからあんまり知られたくないんだ」
「ま、いーけど」
「ありがと、タカちゃん!」
ふぅ。これでまずは一安心っと♪
さすがは、タカちゃん。話がわかるなぁ。
みんなはワガママだとか怖いだとか手に負えないだとかいってるけど、
本当は真面目で、面倒見が良くて、話がわかる子なんだよね。
かなり素直じゃないから、分かってもらえてないみたいだけど。
と、その時。
「もー。どーしてそんなにイヤがるのよぉ? カワイイのにぃ!」
僕とタカちゃんのやりとりを見ていたくらげちゃんが不機嫌そうにほっぺたを膨らまして僕に突っかかって来る。
まぁ、突っかかってくるのは僕がユーミちゃんって呼ばれるのをイヤがるたびのことなんだけど。
「そんなこと言ったって、僕だって、いちおーは男なんだからカワイイあだ名なんかつけられても困るよぉ!
 あんなあだ名、女の子みたいで恥ずかしいじゃんかー」
僕はいつものように、くらげちゃんに言い返す。
「いいじゃない、実際、女の子みたいなんだからぁ!」
「よくないよぉー」
「そんなこと言ってもムダよ!
 だいたい、この間だって水族館の帰りに女の子に間違われて・・・」
!!!
うわっ、まずい!
あだ名を知られちゃっただけでも恥ずかしいのに、あんなコトまで知られたら、もう生きてけない!
ってのは大げさだけど、今度こそ話題そらさなきゃ!!
「そ、そうだ! そう言えば、タカちゃんは何買ったの?」
僕は思いっきり強引にタカちゃんに話を振る。
「ええっ!?
 え、えっと、ケーキの材料をちょっとね。
 明日さ、優ちゃんと2人でクリスマス会やることになったんだけど、
 それでケーキを焼いて持ってこうと思って」
いきなり話を振られたタカちゃんがびっくりしながら答える。
当のくらげちゃんは話を腰を折られて不機嫌そうな表情をして黙りこむ。
ふぅ・・・、間に合ったぁ・・・。
ところで、やっぱりタカちゃん、何も気付いてないんだ、クリスマス会のこと。
どうするんだろう、優ちゃん。
タカちゃんと2人でクリスマス会やっちゃうのかな?
それとも、タカちゃんの方は断っちゃうのかな?
「・・・でもね。ホントは優ちゃんと2人っきりじゃなくて、みんなでやりたかったんだ・・・」
タカちゃんが不意に遠い目をする。
「えっ?」
「去年、みんなでクリスマス会やったんだけど、あたしがケーキひっくり返しちゃって台無しにしちゃってさ。
 だから今年はケーキを焼いてって、みんなにちゃんとあやまろうって思ってたんだ」
「タカちゃん・・・」
タカちゃん、ちゃんと反省してるんだ。
でも、まりりんたちは・・・。
何だかやり切れない思いがして胸がちくちく痛む。
「・・・って、なんでアンタにそんなこと話さなきゃなんないのよ!
 あぁ、もう、いつも、そう!
 アンタと話してるとつい余計なコトまで話しちゃうのよね!!
 じゃあ、もう、あたしは行くからね。バイバイ!!」
タカちゃんが恥ずかしそうにしながら慌てて立ち去る。
「じゃーねー!」
僕はタカちゃんに軽く手を振り、
「じゃっ、行こうか」
くらげちゃんの方に向き直る。
「ふんっ」
あ。ご機嫌ななめ。
まぁ、無理矢理話の腰を折っちゃったし、しょーがないか・・・。
「買い物したらパフェでも一緒に食べよーか? おごるよ」
「わーい♪ はやく行こー!」
くらげちゃんが途端に機嫌を直して僕の手をぐいぐい引っ張る。
はぁ・・・。この娘、ホントに単純だなぁ・・・。

【第3話 クリスマス会3 終わり】

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【ぱられる☆あくあZONE 和港 由海:第4話 クリスマス会4】

そして、次の日、26日の午後。
海洋生物研究部のクリスマス会に行く途中、るみ子ちゃんの家のすぐ近くでタカちゃんに出会った。
「あ、タカちゃん。こんなところでどーしたの?」
「昨日の夜さ、優ちゃんからみんなでクリスマス会やることになったからって電話があったんだ。
 それで、今からるみ子ん家に向かうとこ」
「えっ、みんなで・・・?」
それって、まさか・・・
う〜ん、単にまりりんたちの気が変わったんならいーんだけど・・・。
「そ。でも、優ちゃんもドジよねー。あたしに場所教えるの忘れちゃってんだからさ!」
「えっ!?」
!!
あぁ、やっぱりぃ!!
ハンマーでぶん殴られたようなショックとともに一瞬、目の前がまっくらになる。
優ちゃんがタカちゃんに場所を教えなかったのは、忘れてるんじゃなくて、
タカちゃんを呼ぶつもりがなかったからに決まってる。
優ちゃん、ちゃんと断りきれてなかったんだ!
どーしよう! タカちゃんをとめなきゃ!
タカちゃんに本当のことを教えてあげなきゃ!
「あ、あのタカちゃん・・・」
「ん? どーしたのよ」
「えっと・・・その・・・」
僕は本当のことを言おうとしたけど、でも、言葉が喉に詰まって、それ以上が出てこない。
あ〜だめっ。やっぱり、タカちゃんは呼ばれてないんだよなんて酷なこと言えないよっ。
昨日だって、みんなに謝りたいって言ってたのに・・・
今だって、こんなに嬉しそうにしてるのに・・・
うう〜〜。
「もう、ハッキリしてよ!
 そうやってハッキリしないのってイライラする!」
タカちゃんが声を荒立てる。
「いや・・・あの・・・その・・・」
あぁ、もうっ! 何やってんだよっ! このままじゃタカちゃん、もっと傷つくことになっちゃうよ!
自分にそう言い聞かせたけど、でも、やっぱり、どうしても、言葉が出てこなくて・・・
それで、僕がモタモタしてるうち、
「あたし、時間無いんだから! もう、行っちゃうよ!」
とうとうタカちゃんが怒ってスタスタと歩き出してしまう。
「あ、まっ・・・」
僕がタカちゃんを呼び止めようとしたその時、、
タカちゃんはとうとうるみ子ちゃんの家の呼び鈴を鳴らしてしまった。
そして、るみ子ちゃんの家のドアが開く。
あぁ、もう、ダメ・・・!
ちゃんと反省して、みんなに謝りたいって言ってたタカちゃん。
何にも知らないみんなに、そんなタカちゃんが傷つけられちゃうかと思うと、
そして、僕が止められたのに止められなかったかと思うと、
タカちゃんが可哀想で、タカちゃんが止められなかった自分が不甲斐なくって、
もう、見てられなくって、どうにもその場に居られなくって、
僕は逃げるようにその場から走り去ってしまった。
ごめん! タカちゃん。僕、何もしてあげられなかった・・・
本当に、ごめんね・・・

「ちょ、ちょっと、ユーミちゃん。どーしたの!?」
僕が我に帰ったのは、クリスマス会をやることになっていたくらげちゃんの家の前で
みんなの到着を今や遅しと待っていたくらげちゃんに呼びとめられた時のことだった。
結局、海洋生物研究部のクリスマス会はタカちゃんのことで頭がいっぱいでずっと上の空。
何をしているのかもわからないまま、ただ、時だけが流れてった。

夜。
クリスマス会の帰り道。
一人で家に向かっていると、反対側から一人で歩いてくるタカちゃんに出会った。
何か傷つけられて辛い思いしてなかったらいーけど・・・。
ううん。そんな都合のいいことある訳ないよね。
絶対、何か傷つけられるようなことがあったハズだよね。
だって、僕、タカちゃんをとめられなかったんだから・・・。
そう思うと胸がとっても痛んで、どうしようもなく悲しくなってきた。
「あ、和港くん」
タカちゃんが僕に声をかける。
くすん。
タカちゃんの声を聞いたとたん、不意に涙ぐんでしまう。
僕は慌てて涙を拭う。
でも、タカちゃんの顔を見てると涙が溢れて止まらない。
「もーどーしたのよ、和港くん? 泣いてるの?」
「・・・・・・
 タカちゃん、ゴメン・・・。
 辛い思いさせちゃったよね・・・。
 ホントはタカちゃんがクリスマス会に呼ばれてなかったの、はじめから知ってたんだ。
 あの時、言おうと思ったんだよ。でも、どうしても言えなくて・・・。
 ごめん。ほんとーにごめんね・・・。」
俯いて涙声で謝る僕にタカちゃんが優しく言葉をかける。
「もーいーよ、和港くん。
 おかげでみんなとクリスマス会できたから。
 楽しかったよ、クリスマス会」
え?
みんなと・・・?
楽しかった・・・?
じゃあ、ホントーに優ちゃんがボケてただけ???
もしかして、僕の早とちり?
僕はぼーぜんとして目をぱちくり。
ついでに、涙も止まってしまう。
「あれ? いや、じゃあ、その・・・?」
考えがまとまらなくって、何言ってるのか自分でもわかんないや。
「もー、何、きょとんとしてんのよ! 分かんなかったの!?
 あたしはちゃんとみんなと楽しくクリスマス会やったってコト!」
「それはわかってるけど・・・。
 いや、僕、てっきり、タカちゃんが何かカン違いして、
 呼ばれてないのにクリスマス会に行っちゃったのかと思ってたんだけど。
 もしかして、まりりんたち本当にタカちゃんも呼んでたの?」
僕の言葉にタカちゃんは首を横に振った。
「ううん。でも、長沼くんがみんなを説得してくれたんだって。
 長沼くん、あたしがみんなに謝りたかったのわかってくれたみたい」
「長沼くんが?
 そう。タカちゃん、よかったね。・・・あ」
ほっとしたらまたちょっと涙が出てきちゃった。
僕はあわてて服の袖で涙をぬぐう。
今度はそれだけで、もう、涙は出てこない。
そんな僕の様子にタカちゃんは溜め息をひとつ。
「もー、あんたのことじゃないんだから、そんなにメソメソ泣かないでよ!
 あたしは大丈夫なんだからさ!」
「だって・・・」
「もぅ。ホント、あんたって泣き虫よね。
 男の子なんだから、もうちょっと何とかなんないの?
 それじゃあ、やっぱり『ユーミちゃん』がお似合いかもね」
「えぇ〜、そんなぁー」
「うそうそ! ジョーダンだって!」
と、その時、空からちらちらと白いものが。
雪だ。
「あ。雪」
「1日遅れのホワイトクリスマスだね」
そーいえば、何か寒いなぁ。
やっぱり雪が降ってきたからかな?
ハックション!
うぅ〜、なんか本当に寒いや。
「そー言えばさ。和港くん、昼間会った時はコート着てなかった?」
タカちゃんが僕に聞く。
「え?」
気づいて見れば、確かに昼間は来てたコートを着てない。
クリスマス会の帰りにコートを着てくるのを忘れちゃったみたい。
まぁ、いーや。
タカちゃんがみんなとクリスマス会ができたことだしね。

その時は、めでたしめでたしって思いました。
だけど・・・


3学期。
教室で久しぶりに出会ったみんなと話していると、
くらげちゃんが大きな紙袋を片手に教室にやってきた。
!!
げ、マズい!
何でくらげちゃんがこんなところに?
僕は慌ててくらげちゃんの元に走る。
こんなところでユーミちゃんなんて呼ばれたら大変だ!
でも、時すでに遅し。
くらげちゃんは僕を指差し、
「ユーミちゃん、みぃーっけ!」
((ちゅど〜〜〜〜〜〜〜ん))
あああああぁ!!!
せ、せっかく隠して通してきたのにぃ。
せっかくタカちゃんにも言わないって約束してもらったのにぃ。
今までの苦労の数々が走馬灯のように駆け巡る。
・・・・・・・
みんなの視線が僕とくらげちゃんに集中する。
一瞬、間を置いて巻き起こる大爆笑。
うう〜〜。
「ユーミちゃん、クリスマス会のとき、コート忘れてったでしょう。
 ハイ、もってきてあげたよ」
くらげちゃんが屈託のない笑顔で僕に紙袋を差し出す。
文句の一つも言いたい気がするけど、くらげちゃんに悪気はないから文句は言えない。
だから。
「は。はは・・・
 あ、ありがとう・・・」
僕はみんなの爆笑の渦の中、引きつった笑顔でくらげちゃんから紙袋を受け取るしかなかった。
もぉー、何でこーなるんだよー!?
あー、タカちゃんまで優ちゃんたちと一緒に笑ってるしぃー!!
悪夢だぁー!!

この後、僕がクラスのみんなから(タカちゃん含む)も
ユーミちゃんと呼ばれることになったっていうのは、言わなくても分かるよね・・・。
うぅ、くらげちゃんのバカーっ!
しくしくしく・・・

【第4話 クリスマス会4 おわり】

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【ぱられる☆あくあZone:和港 由海・第5話☆St.バレンタイン その1】

寒さも厳しい2月の中頃。
天気予報でも、明日は雪が降るかもって言ってたっけ。

ところで、最近、なんだか、みんなの様子がヘン。
女の子たちは、何だか、こそこそ相談したりで、そわそわ。
男の子たちも、平均以上に女の子に優しくしたり、自分をアピールしたりに余念がないみたい。

でも、橋本くんとか国領くんは、そんなみんなの様子にちょっと不機嫌そう。
だから、きっと、このヘンな雰囲気の理由を知ってるのかなって思って、
こないだ国領くんに理由を聞いてみたんだけど、
「おまえのようなモテるヤツには聞かれとうないっ!」
って、思いっきり怒られちゃって、それで、結局、理由はわからずじまい。

でもって、この雰囲気の影響は僕の部、海洋生物研究部にも及んでいて、
おとといも2年生の雉間先輩&和田先輩と、それから、くらげちゃんの
強〜〜〜〜〜いリクエスト(99%以上、雉間先輩だけど)により、
今日の部活が明日に延期させられてしまった。

   * * * * * * * * * *

放課後。
そんな訳で部活がなくなってしまったので家に帰ろうと、
下駄箱で靴を履き替えて外に出た僕は、
そこで、優ちゃんと長沼くんの姿を見かけた。

2人は何か話してたんだけど、
突然、優ちゃんが長沼くんに何か怒鳴りつけると走り去ってしまった。
残された長沼くんは何だか訳の分からなさそうな顔で
優ちゃんが走り去った方を見てぼーぜんとしている。
……あ〜あ、また、やっちゃった。
僕は思わず溜め息一つ。
長沼くんのことだから、また、余計なこと口走っちゃって
優ちゃんを怒らせちゃったんじゃないかな?
でも、まぁ、あの2人が喧嘩するなんて日常茶飯事だし、
喧嘩するほど仲がいいとも言うから、別に心配はいらないと思うけど。
そして、その後、当の長沼くんは、
たまたま居合わせた真理ちゃんとちょっと言葉を交わすと、
サッカー部の部活があるのか、グラウンドの方へと走って行った。

その時。
「やっほー! ユーミちゃん!!」
ポンッ!
聞き慣れた声と共に誰かに背中を叩かれる。
この声は……
「くらげちゃん?」
振りかえると、そこに、予想通りにくらげちゃんがいた。
そして、他にも、雉間先輩と和田先輩の姿もそこにあった。
「あっ、和田先輩に雉間先輩も一緒だったんですね。
 そういえば、雉間先輩。
 今日は何で部活を休みにしたんですか?」
「えっとねぇ、今日は、三人でバレン……んがんご」
僕の問いかけにくらげちゃんが答えようとして、とっさに雉間先輩がその口を塞ぐ。
何か隠し事でもあるのかな?
「ダメじゃない! くらげちゃん!
 あれだけ、言っちゃダメって言ったでしょ!」
くらげちゃんの口から手を離して雉間先輩がくらげちゃんをたしなめる。
「あっ! そーだったよね。ゴメンなさい」
「まぁ、そういうわけだから……」
和田先輩が、そう言ってちょっと苦笑する。
「はは……(^^;
 それじゃあ、詳しくは聞かないことにしますね」
「ありがとう。さすがユーミくんは話が早いわね。
 じゃあ、私達は行くわね。また明日ね」
そう言って、和田先輩は歩き出した。
雉間先輩とくらげちゃんも一緒になって歩き出す。
「また明日ね! ユーミちゃん!」
「じゃあね、明日を楽し……んがんご」
今度は、雉間先輩がくらげちゃんに口を塞がれる。
「ダメじゃん。りん先輩!」
してやったりと言った顔でくらげちゃんが雉間先輩に言う。
「え……えっと、それじゃーね! ユーミちゃん!
 急ごう! 津実、くらげちゃん!」
雉間先輩は、そう言うと、和田先輩とくらげちゃんの手を引っ張って、
パタパタと走り去って行った。

明日って……? う〜ん、ホントに何なんだろう?
そういえば、さっき、優ちゃんも、
明日がどーのこーのとかでブラバン休んでたっけ……。

ねー、ホント。明日って、何があるの?????

【第5話☆St.バレンタイン その1 おわり】

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