静岡県産酒浮上の謎は伝兵衛さんの
「静岡酵母」と大井川水系の地下水

静岡県の地酒がうまいと言う評判が全国的に立ち始めたのは7年ほど前からです。
昭和61年全国鑑評会では、
静岡県産のお酒が金賞10、銀賞7、
と言う大量入賞
を出し、銘酒県静岡の名を世に広めました。

醸造所1社にあたり出品は1点ですから、
静岡県内の酒造メ−カ−が36社で、
そのうち17社の入賞
がいかにどれほど大きい意味を持つかお判りでしょう。

それまで静岡県のお酒は決して有名ではありませんでした。
全国には約2000社の酒造メ−カ−があり、年間で約八百万石の日本酒を
生産していますが、
静岡県の生産量はその1%にも満たない生産量です。

そのような酒造後進県がなぜ突然に中央の檜舞台に踊り出たのか?

その秘密は豊富で良質の水と、静岡県工業技術センタ−の主任研究員である
河村伝兵衛氏の開発した「静岡酵母」にあります。

おもな静岡酵母は以下の表の通りです。

【静岡酵母】  (※資料提供 志太泉酒造)
名 前 特 徴
HD-1 静岡県を代表する吟醸酵母
NEW-5 HD-1とNO-2より造られた。
NO-2 低酸でバナナ系吟醸香が特徴
SY-103 落ち着いた香り
CA-50 バラの香り
5MT-14 適度な林檎系とバナナ系の香り
MS-15 適度な林檎系とバナナ系の香り




水について

銘酒を生む大井川水系の地下水

日本酒の生産には上質の水が大量に必要です。
仕込み水、割水、洗米水、洗浄水、と日本酒の主な生産地は
また上質な水の大産地
と言えます。


お酒造りの水に必要とされるものは何かと言うと
一番重要な要素として、鉄分が少ないと言うことが挙げられます。
(鉄分はお酒に色や雑味を付けやすいからです。)

次に重要な要素として、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの
ミネラル分が適度にあることが挙げられます。
ミネラルは酵母に力を与え、活動を元気にします。

灘の力のある男酒 ミネラル分の多い宮水で造られています。
伏見の女酒 ミネラル分の少ない水で造られています。


志太の、広くは大井川の地下水は鉄分が少なく、
ミネラルも少ない軟水で他の微量物質が総じて
少ないか検出されないきれいで、柔らかい酒造りに適した
良質の水です。

この水質に合う醸造法は発酵をゆっくり進ませ、きめ細かな
綺麗なお酒に仕上げる
のが良いとされています。

ここで問題になるのは、発酵にかかる時間が長引くと
それに伴う腐敗の危険性が高くなります。

しかし最近の温度管理、微生物管理の設備、技術の向上により
それらを克服し水の特性を活かした酒造りが行われています。

の一つが静岡工業試験所で分離固定された「HD−1」か
「N−5」と呼ばれる静岡酵母だと言えます。





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