日本酒についての語源やそのエピソ−ドは意外に知らない事が
多いかと思われます。

そこでこのコ−ナ−では、そんな意外で楽しい語源などを
ご紹介致します。


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【MENU】
醸す 乾杯 無礼講
上戸.下戸 はしごさけ 左利き くだをまく トラ 居酒屋
泥酔 富士見酒 甘・酸・辛・苦・渋 五臓六腑にしみわたる

さけ


酒は古来、それを飲むと心が栄えて豊かになると言う理由から「栄え水」
呼ばれていたことがありました。

それが除々に変化して、
サカエ(栄え)→サケエ→サケ(酒)となったと言う説や、
酒は「百薬の長」とも呼ばれるように、飲めば風邪や邪気などを
避ける事が出来ると言われ、
サケル(避ける)→サケ(酒)と言う説もあります。

その他にも朝鮮の言葉で
酒などが発酵、熟成する事をSakと発音するところから、
それをとって酒と言う言葉が生まれたと言う説もあります。


【燗】かん

太古の昔から神事や婚礼など儀式に使う酒は冷やでした。
酒とは本来、冷やで飲むものとされていました。

熱燗なるものが登場したのは、平安時代以降の事だとされています。
当用漢字ではない「燗」と言う字は火と言う字と間と言う字を合成したもので、
ぬるからず熱からずの間の微妙な温度を表しています。俗にいう
人肌の温度です。

又、徳利は燗をするための道具として、熱燗の風習が広まってから
一般的に使われるようになりました。これは
酒を注ぐ時の「とくりとくり」という
からその名前がついたと言われています。


【宴】うたげ

風雅な宴の最たるものとして挙げられるのが、曲水の宴です。

これは酒を飲みながら歌を作る奈良平安時代の行事のひとつです。
各人が水のほとりにすわり、上流から流れてくる盃が自分の前を通り過ぎる
までに歌を作り、流れてくる盃をとり酒を飲んで、又その盃を流れに戻して
下流の方にいる人に送るというものです。

「宴」は「うちあげ」が詰まった出来た言葉と言われています。
仕事が終了したときなどにお疲れさまの意を込めて行われる
「打ち上げ」は「宴」の元の形と関連づけて考えることもできます。


【醸す】かもす

雰囲気を作り出す事を「かもす」と言いますが、これは「醸す」とも書き、
元はお酒を醸造する事を意味する言葉でした。
その「醸す」は「噛みす」からきていて、噛む作業の事だと言う説
があります。

「日本書紀」に「コノハナサクヤヒメがニニギノミコトと結婚して
ヒコホホデノミノミコトを生んだとき、その御祝いとして天の甜酒(たむけさけ)を
噛まれた」と記されています。

これによると天の甜酒(たむけさけ)は噛んで造った酒と言うことになります。
麹の存在が知られていない太古の昔には米を噛んで醸していました。
(酒を造っていた)

「噛む」=「醸す」の説を裏打ちする信じられような本当の話です。


【乾杯】かんぱい

乾杯の始まりは、古代ヨ−ロッパにおいて神に対する祈りとして、
または、死者に対する宗教的な儀式として行われていた
と考えられます。

又、乾杯の時グラスを合わせるのは、家の主と客が乾杯し
一緒に飲み干す事によって、客にすすめる酒に毒が入っていない事を
証明するためだった
という事です。

現在はそんな物騒な理由から乾杯する事もなく、お互いの健康や
幸せを祈って乾杯するようになりました。

イギリスでは乾杯の事を「ト−スト」と言います。
祝いの席で飲むワインにト−ストを入れる風習があったことから
そう呼ばれてているそうです。


【無礼講】ぶれいこう

上司と部下が席を々にして酒宴が行われる際はよくこの言葉が使われます。

無礼講とは、地位や身分の上下にこだわらず楽しむ酒宴の事を言いますが
その起こりは鎌倉時代のことだと言われています。

後醍醐天皇が北条氏打倒の策略を練るため、同士を呼んで
その相談をする際に内容が外に漏れない様身分関係を抜きにしてハメを
はずした酒宴を催した。


勿論これは世をあざむく為の宴にかこつけた協議の場でしたが、
毎日続く常識や礼儀をを欠いた酒宴の様子に驚いた人々が
それを「無礼講」と呼んだと言われます。


【上戸・下戸】じょうご.げこ

酒飲みを上戸、飲めない人を下戸と言いますが
それは701年に発令された大宝律令に発していると言われています。

家の制度として、成年男子が6人から8人いる家を上戸
4人または5人いる家を中戸3人までの家を下戸と呼びました。

次第にその呼び名も別の意味をもつようになり、働き手の多くいる家と
そうでない家と言う発想から、経済的な豊かさの違いを表す
ように
なっていきました。

さらにその経済力にともなって婚礼の時などに「酒を多く振る舞える上戸と
あまり振る舞えない下戸」→「酒を多く飲む上戸、あまり飲めない下戸」と
なったのが始まりだと言われます。


【左利き】ひだりきき

大工や鉱山の職人、または彫刻をする人など、ノミを使う達の間から
生まれたと言われているのが「左利き」と言う言葉。

これは勿論、右利き左利きの意味とは別に酒飲みのことを指しています。
ノミで木や石を削るときは普通左手にノミを持って削るものにあてがい、
右手に持ったかなづちでそのノミの上を叩く作業をします。

つまり「ノミ手」であり、それを「飲み手」としゃれて
、飲み手は「左利き」、
酒飲みのことを「左利き」と言うようになったと言われています。


【くだをまく】

酔っぱらって同じ事をくどくどと喋り続け事を「くだをまく」と言いますが、
これは管を巻く作業からきた言葉と考えられています。

昔、機織りをする際、イトを管にまく管巻きは、
同じ事を繰り返し行う作業だったことから、同じ話を繰り返し喋る
酔っぱらいのことを「くだまき」
というか、管巻きはうっとおしい位
丹念にしつこく行わなければならない作業だから、
同じようにしつこい酔っぱらいを「くだまき」
と言う説があります。

又、管を巻くときに鳴る音が、酔っぱらいがぶつぶついうのと
似ているから
だと言う説もあります。


【トラ】

大変な酔っぱらいのことを俗に「トラ」と言うが、
これは「ささ」薮に潜む猛々しい「虎」からきているという。
ささ」とは中国でさけを意味する言葉の「竹葉」にならってつけられた、
酒の代名詞。


つまり「酒」に潜む猛々しい「トラ」というわけです。
が、これにもまた別説があり、それは寅の刻の「寅」から
きていると言うものです。

寅の刻とは、午前3時から5時間でのことで、
そんな時間まで飲んでいる人
を「トラ」と呼ぶ様になりました。


【居酒屋】いざかや

居酒屋というものが登場したのは江戸時代の頃です。

漁村や江戸の町が発祥の地と言われています。

家族と離ればなれになっている出稼ぎの漁師や職人、人足、浪人
など、仕事が終わり家に帰っても一人で酒を酌み交わさなければ
ならない境遇の人達が、「居酒致し候」と言う看板が出ている店

居て酒を飲む、居酒をするところから始まったと言われています。

今の居酒屋のようにさまざまな料理のメニュ−などはなく
塩や簡単なつまみを肴に飲んでいたと思われます。
又、いまでは店の雰囲気作りのひとつになっている縄のれんは、
網戸がなかった時代の蠅よけとして使われていました。


【泥酔】でいすい

中国のかの有名名詩人、杜甫の詩に
「酔如泥(酔、泥の如し)」と言う一説があります。

泥酔とはここからきた言葉と言われていますが、その意味は酔っぱらって
泥のようになってしまう
ことです。

しかし、この「泥」とはドロのことではありません。泥という虫の一種です。
この虫は水の中に棲んでいる骨のない虫です。

骨がないゆえにいつもフニャフニャしていて、そのさまが、まさに
ぐでんぐでんに酔っぱらって足元がおぼつかない酔っぱらいに
そっくり
と言うところから
「酔、泥の如し」といわれ、泥酔と言う言葉が生まれたと言う事です。

【富士見酒】ふじみさけ

江戸時代、灘や伏見など上方の酒の産地で造られたものは上質とされ、
江戸に下って送られてくるこれらの酒を「下り酒」
と呼ばれていました。

なかでも杉の樽に入れ、うまの背中に乗せられ揺れながら運ばれてきた酒は
何とも言えない味と杉のいい香りがしました。

東海道を下った富士山を見ながら運ばれてきた酒と言うことからこれを
「富士見酒」といって、もてはやしていたそうです。

反対に灘や伏見以外の土地のお酒は一段落ちると言う概念があり、
これらのことを「下らない酒」
と言ったそうです。

それが現在の「くだらない」と言う言葉の元になっているとも
言われています。

【甘・酸・辛・苦・渋】




お酒の味は、5つの味覚(甘み、酸味、辛味、苦味、渋味)の「甘酸辛苦渋」の
調和から成ると言われています。

人間の舌は先で甘みを、真ん中あたりで酸味を、根本のほうで
苦味をというように、舌の場所によって違った味を知ることができる感覚が
備わっています。

利き酒の時にお酒を舌の上に転がすようにするのも、
お酒の「甘酸辛苦渋」を全て感じとる事が出来るようにという事です。


お酒の品定めをする時にによく使われる言葉として「テリ、ヒキ、コク」と
言うものです。


テリとは色合いと光沢。ヒキとは香り、コクとはコクのある味という事です。


【はしご酒】

ひとつの店にどっかりと座り込み何時間も動かないで根が生えたような
状態になって飲み続ける人を「臼(うす)」
と、言います。

反対に腰の落ち着かない人、「ちょっと一杯のつもりがいつのまにやら」
という人のはしご酒。

はしご酒とは、場所を変えて次々と飲み歩く意味ですが、
それも本来は梯子酒と書くようになじみの店を片っ端からひとつずつ、まるで梯子を
丁寧に登っていくかのごとく、尋ね歩いて飲む
ということだそうです。

しっかりとした意志を持って飲むという事で、行き当たりばったりの
見知らぬ店に飛び込む、というのとは少し違う意味合いの言葉です。


【五臓六腑にしみわたる】

お酒に含まれるアルコ−ルはお酒を飲むと直接、胃や腸から
吸収されて、それが次に血液にとけ込み、体中に回ります。
よく言われるアルコ−ル血中濃度というもの、お酒を飲んだらすぐ
表れるこのような作用によって測られます。
「五臓六腑にしみわたる」と言う言葉も、内臓に吸収される、
お酒ならではの感覚と言えるでしょう。

ちなみに五臓とは漢方のいうところによれば、
肺・ 心臓・ 脾臓・ 肝臓・ 腎臓・
の五つの内臓と言われています。

六腑とは、
大腸・ 小腸・ 胆・ 胃・ 三焦・ 膀胱
の事と言われています。

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