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彼女に纏わる何て事は無い話幾つか

七つ道具にはちょっと多い割に合わない頂いた数傍観する者こっそり色々君の名は歌ってみたゲンゴロウよりはマシ


七つ道具にはちょっと多い

「お前のカバン、何が入ってるの?」
「ヒミツ。」
  が何時も肩から下げている大きなカバンが気になって、訊いたら最初に返ってきた答えがコレだったので思わず軽く首を絞めた。
 因みに私は妹には遠慮はしない。普段気を遣って乱暴な言葉は使わない様にしているが、身内にまで気を遣ったら疲れるだけだ。そう言う訳で、 相手の時はかなりぞんざいな言葉遣いと態度になっている。
 首を絞められた は、仕方ないなぁと言わんばかりに肩から下ろしてカバンの中身を出し始めた。
「商売道具が入ってるんよ。モバイルとバッテリーと、ノートとペンね。」
 それとここではゲームしか出来ないけど、と携帯電話。うん、まぁ私も活用させてもらってるけど。よく見たら携帯のバッテリーが減っていないので、使っていないのかと思ったら、次に出てきたのは手動式充電器。充電器があるならバッテリー減らないよね。今度貸してもらおう。私の携帯、バッテリー残り僅かだから。
 実は は小説家だ。(学生の分際で)自分のトリップ体験を活かして小説にしたら、結構受けたらしく定期的に仕事が来る。そして私は の小説に挿絵を描いていたりする。『商売道具』とはつまりそう言う意味。今回のトリップが終わったら、次の小説のテーマは戦国時代だと思うのだが……多分戦国時代風異世界ファンタジーと言う所だろう。何だか良く判らない。
 どうでも良いが、よくもこれだけ入ってるもんだ、と思うくらい次々と出てくるので、思わず「お前のカバンは4次元ポケットか。」と言ってしまった。
 結局 のカバンから出てきたものは以下の通り。
 モバイルノート、専用バッテリー、ノート、筆記用具、携帯電話、充電器、ライター、LED懐中電灯、お特用チョコレート。
 辞書が無いのが不思議だったが、どうも英和・和英・古語・類語・その他諸々の辞書はモバイルに入っているらしい。まぁ の商売道具だから、何時でも見られるように入れてあるのは判る。それに は調べ物スキーだから、他にも多分データベースに色々入っているんだと思う。
 私もこの世界に来るのが判っていたら、スケッチブックでも持ってくるんだった。
「あ、あとこれも入ってた。」
 そう言って は自分の足元を指差した。安全靴。
「…どうやったらそんなに入るんだ。」
「ヒミツ。」
 瞬間、殴った私は悪くないと思う。


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姉妹の会話。主人公の秘密道具についてでした。
主人公が小説家である、と言うのは最初から決まってました。

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割に合わない

 が城に来てから一週間。最初の3日は寝て過ごしていたせいか、恐ろしい憶測が城内を飛びまわっていた。初めてそれを聞いた時は、思わず言い出した奴を斬ろうかと思ったくらいだ。
「へ〜。そんな噂が立ったの。おもろかしいねぇ。」
「面白くも何ともねぇ。アンタは良いのか、それで。」
「んー……別にには害が無いしねぇ。て言うか独眼竜好きだし?」
 さらりと言われて二の句がつげなくなる。どうしてこいつはこう……俺を困惑させるのが上手いんだろう。
「でも何処をどう見たら深窓の令嬢に見えるんだ、こいつが。」
 そう言って呆れたのは姉の。全くその通りだと俺も思う。
「醸し出す高貴さが隠しても滲み出るのかしら、うふ。」
「いや、全く無いから。」
「気持ち悪ィ。」
 そんな事を言い合って暫くしてから、言い出した奴が判明した。成実だ。
「手前ェ、知ってる癖して何でそんな無責任な噂を立てやがる!」
 六爪流に構えて問い質すと、逃げながら成実が答えた。
「だって殿だって満更じゃないでしょー! オレは様がずっと城に居てくれる方が嬉しいしさっ!」
「誰が満更じゃないって!? 不服だらけだっ!! Beat it!
 バタバタと廊下を走り回っていたら、景綱に見つかって怒られた。全く、子供じゃないのにCoolじゃねェ……。
「何をそんなに怒っているのかしら、失礼ねェ。ねぇ、ちゃん?」
「お前、その白々しい女言葉やめなさい。」
「あらやだ。元はと言えば奥州筆頭の癖に側室の一人も持たない独眼竜が悪いんじゃありません事? ほほほのほーっだ。」
「然様ですねぇ。」
 景綱に怒られている背後で、が延元と言いたい放題話している。
 成実が流した噂。それはが武田の姫で、合戦中見初めた俺が略奪してきてそれがShockで寝込んでしまった、と言うものだ。何処をどうしたら、が姫君に見えるって言うんだ。おまけに見初めただァ?
 …まぁ確かに、城に来るなりぶっ倒れて3日も寝こんでいたをちょくちょく見舞いに来ていたのは事実だが。
 何故俺が妻妾が居ない事でこんな目にあわなきゃならないんだ。割りにあわねェ。
「まぁまぁ。独眼竜。これあげるから、機嫌直しなさい。」
 そう言うなりが俺の口に放りこんだのは、昔一度だけ食べた懐かしい味。甘くて、苦い。Chocolate


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伊達政宗の微妙な心情。3日寝込んだ理由はそのうち……
おもろかしい=面白い+可笑しい

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頂いた数

「信長様ー!  様から頂いたちょこれいと、もう食べましたか?」
「何じゃ、丸。騒々しい。…未だ食べておらぬ。」
「まぁ上総之介様。 様がおっしゃっていたではありませんか。余り日を置きすぎても風味が落ちるので早めにお食べ下さいと……妾はもう一つ頂きましたわ。」
「蘭丸は一つしか貰っていません……。信長様は幾つ貰ったのですか。」
「3つじゃ。」
「妾は2つでございます。」
「フ、フフフフ。私は5つ、頂きましたよ。」
「なにっ!」
「何で光秀が5つも貰えるんだよっ! ずるいぞ!」
「誰も貰った等と言っていませんよ。5つ頂いたと言ったのです。ハハ、ハハハハハハハハ。」
「まさか!」
「ぬうっ!! 儂のちょこれいとがっ!!」
「一つも無い……。」
「誰ぞ! 武器を持てい!!」
「フハ、フハハハハハハ。」


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会話のみ。状況説明無しは難しいなぁ。
本編で出る機会が(なかなか)無さそうなのでここで書いてみた織田軍。

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傍観する者

「なぁ、ちょっと頼みがあるんだが良いか?」
「なんでしょう?」
 聞き覚えのある声に振り帰ると、丁度元親が とか言う娘に声を掛けている所だった。
  では無い事に興味を覚え、そのまま見物する事にした。
 見ていると元親は何やら言い辛いのかもじもじとして薄気味が悪い。だがその様子で彼奴が何を言わんとしているのか予測が出来た。ふむ、面白い。
「アンタ、そのー……俺の名前、呼んで見てくれねぇか?」
 …やはり、な。
 たかだかそれを言う為だけにあの様に躊躇うとは、彼奴は阿呆だ。
  の方は、驚いた様だが素直に「長曾我部さん。」と呼んだ。元親は「いや、そうじゃなくて。」と言ってまた一瞬言い澱んでから言った。
「苗字じゃなくて、名前。元親、って呼んで見てくれねぇか?」
「はぁ? えーと、じゃあ元親さん。…これで良いですか?」
 怪訝そうに言う に対し、元親は感慨深げだ。気持ちは判らないでは無いが、見てる方としては莫迦丸出しだ。
「も、元親さん? どうかしたんですか?」
  が暫く動きの無い元親を心配したのだろう、そう言うと元親は瞑っていた目を見開いて叫んだ。
「凄いっ!  と同じ声なのに、俺の名前を呼んでも何も起きねぇ! な、もう一度頼む!」
「はぁ?」
 訳の判らない には気の毒だが、阿呆に捕まったのだから仕方無い。
「あの二人は何をやってるの?」
「阿呆が名前に拘っているだけだ。」
「ふ〜ん。」
 何時の間にか我の隣に立った が、興味が有るのか無いのか判らぬ顔をして暫くその様子を眺めていた。やがて悪戯っぽい笑みを浮かべて、そっと二人に近付いて行く。
 あの娘はどう言う訳か忍び寄るのが上手い。気付かれる事無く近付いて元親の背後に回る。
「へっへっへ。アニキ、良いケツしてまんなぁ。」
「ぎゃーーーっ!?」
 …本当にあの娘は予測不可能だ。まさかあそこで元親の尻を撫でるとは思わなかった。
「なっ、てっ、てめぇっ っ! 何しやがるっ!!」
「いやいや、姫親さんが ちゃんに無体な事をしてるのかと思ってさぁ。ダメですよ? 変な事しちゃ。」
「変な事してるのは手前の方だろっ!!」
 二人の掛合いのドサクサに、 が逃げて来て我に気付いた。
「毛利さん、何なんですか、あの人。」
「元就で良い。…只の阿呆だ、気にするな。」
「阿呆って……元就さんって結構キツイですね。」
「…当然の事を口にしたまでよ。」
 一瞬だが元親の気持ちが判ってしまった等と、口が裂けても言いたくない。


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或る日の元就、 、元親、主人公。
名前を呼ばれて普通に嬉しかったらしい。

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こっそり色々

「おまん、なにしとっちょう。」
「え? 充電。」
「じゅ……?」
 おいの愛刀の傍に怪しげな箱が置いてあっと。よう判らんが には大事なものらしい。
「あ、充電完了。う〜ん、やっぱり雷属性の武器は電源に使えるなぁ。…て事は最強武将と独眼竜の武器でも出来るな……。」
 ぶつぶつと何やら呟いちょるが、何を言ってるかさっぱり判らん。
「おいさん、ありがとね。」
「お、おう。武器は慣れん者が扱うと怪我の元たい。気ぃつけんしゃい。」
「は〜い。」


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モバイルの充電をしていた主人公。
本体・バッテリー共に満タン。次に充電するのは本多忠勝か伊達政宗か。

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君の名は

「お前、俺の事姫親って呼ぶの止めろよ。」
「姫若子の方が良いの?」
「違っ……って何で知ってるんだよ。」
「ヒミツ。」
  との会話は埒があかない。ああ言えばこう言うで、勝てた試しが無い。それでも一応、食い下がってみる。
「今はなぁ、鬼若子とも言われてるんだ。せめて姫じゃなくて鬼とかよぉ。」
「だって鬼はおいさんも居るじゃないですか。」
 ああ、そう言えば島津公も『鬼』島津だったな。
「だったら独眼竜はどうなんだ。竜は他にも居るだろうが。」
 上杉謙信が『越後の龍』と称されるのを指して言ってみる。
「でも隻眼の竜は一人だけですよ。…四国の風雲児が一人だけの様に、ね。」
 ああ、もう本当にこいつはああ言えばこう言う。勝てねぇなぁ。


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もう、元親は主人公にLoveで決定。(笑)

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歌ってみた

、歌います!」

燃え上が〜れ、燃え上が〜れ
燃え上が〜れ、ホンダム〜
君よ〜、走れ〜
まだ怒りに〜燃〜える
闘志が〜有る〜なら〜
巨大な〜敵を〜
撃てよ!撃てよ!撃てよ〜!
正義の〜怒りを〜ぶつけろ〜ホンダ〜ム
最強〜武〜将、ホンダム〜、ホンダム!

「何のパクりだっ!!」
「!!」
「忠勝、嬉しいのかっ?!」


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会話のみ2。突っ込みは万理。
誰か絶対やってるよなぁ……。でも思いついたら書かずにいられない……

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ゲンゴロウよりはマシ

  殿に、拙者を何故『わんこ』と呼ぶのか訊いてみた。
「わんこ、嫌い?」
 好き嫌い以前に、せめて名前で呼んで欲しいものだと思ったのだが、それは無理な話なので何故『犬』なのか。
「動物で揃えようかと。」
 お館様が虎、佐助が猿、某が犬。確かに動物だが……納得いかぬ。
「そう言えば俺様の部下も動物で呼んでたね。サイちゃんって……。」
 霧隠才蔵の事と思う。それはまだまともだ。
「才蔵はまだ名前の名残がござる。佐助も然り。お館様は虎とも称される方故、そう呼ぶのも致し方ない。だが何故この幸村、縁も所縁も無い『わんこ』等という呼ばれ方をせねばならぬのか。説明頂きたい。」
「だって、ねぇ?」
 そう言って佐助に目配せをする 殿。ぬうっ、佐助め。何か知っておるな!
「いやっ、誤解ですって旦那。然らば、ご免。」
 逃げた忍を追っても仕方無い。目の前の 殿にもう一度詰め寄る。
「でもゲンゴロウよりマシだと思うけどねェ。」
「何故ゲンゴロウ?!」
「も一つ名前あるでしょ?」
 確かに真田源二郎幸村、もう一つと言われれば確かにそうであるが……源二郎……げんじろう……はっ!
「む、虫は厭でござるぅぅ。」
「じゃあ、わんこで。」
「い、致し方ない……。」
 ぬうっ。何だか上手く丸め込まれた気がする。
「良いの、良いの。気にしなぁい。」
  殿がそう言って某の頭を撫でた。…本当に犬のような扱いでござる。
 頭を撫でつつ 殿が何やら取り出た。
「はい、幸村さん。あ〜ん。」
「あ〜ん……?」
 口に放り込まれたそれは初めての味で、甘いのに苦くて、口の中でみるみる溶けていく。
殿っ! 何でござるか、これは??」
「おや、嫌い?」
「とんでもござらぬ! 拙者このような物は初めてで……甘くてとても美味でござった!」
「そりゃ良かった。」
 にこりと笑う 殿に、某も笑みを返す。
 何となく、 殿が某を何と呼ぼうと構わない、そういう気になった。


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幸村をチョコレートで餌付け。
この後政宗が乱入してくると良いと思う。

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先にブログのコメントから。
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と言うわけで思いつきな話幾つか。本編に入れる余地の無い話……
いや、政宗のは入れようと思えば入れられるか……くどいけど。
何となく書いてる最中思ったのだが、バレンタインデーネタっぽいなぁ。(笑)そのつもりは全然なかったのだが。
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と、まぁ思いつきと勢いで書いたので何が何やら。(笑)
本編が進んでないのであんまり突っ込んだ内容が書けないのですが、それなりに書けたなぁ。
ところで『こっそり色々』で主人公の電源に狙われた人物以外に、まだ雷属性の人がいました。すっかり忘れてました。蘭丸&家康、ゴメン……。
『ゲンゴロウよりはマシ』のコメントを読んで、乱入してこない訳が無いだろう、と言われました。私もそう思いますが他人から見てもやっぱりそうだったのか、伊達政宗。(笑)