MENU

何となくホワイトデー。(笑)

マシュマロクッキー


 先日、 が城に来てからというもの何故か毎日が慌しい。何となく一人取り残されているような気がするのは気のせいだろうか。
 そんな事を考えつつ厨へ行くと、どう言う訳だか、本当にどう言う訳だか、幸村と佐助が竈の前で格闘していた。恐らく『格闘』が一番ピンと来る言葉だと思う。
「…何やってんだァ?」
「政宗殿。善い所へ来てくださった。助けて欲しいでござるっ。」
「アァン?」
 何だか厭な予感がする。
「ゴメン。旦那がどうしてもやるってきかなくてさぁ。」
 佐助が含み笑いをしつつ申し訳なさそうに言う。一体何をやっているのかと手元を見れば、菜箸と鍋。鍋の中身は何だか良く判らない焦げた物体。
「おい……幾ら俺の城の厨に物があるからって、食えねぇ物を作るんじゃねぇ。大体……苦っ。こりゃ原形Sugarだろうっ! 高いんだぞ!! 勿体無ぇことしやがって……何を作りたいのか、言ってみろ!」
 焦げた中身はどうも砂糖らしい。「さしすせそ」の揃った厨でも高い物をこんなにして、絶対幸村は砂糖の価値を知らねぇ。
 俺に睨まれて幸村は佐助の後ろに隠れながら答えた。どうでも良いが、こいつは本当に戦場と普段で人が違う。
「飴を作りたかったんでござるよ……。 殿にあげようと……。」
「アァ?  にお前がPresentするんだよ。」
「ぷれ何とかは良く判らぬが、何でも『ちよこれいと』を貰ったら、お返しをあげないといけないと言われたんでござる。」
Chocolate?」
 チョコレートなら俺も貰ったが、お返し云々と言う事は初耳だ。しかも何故飴なのか。
 俺の疑問に答えたのは幸村ではなくて佐助だった。
ちゃんが教えてくれたんだよ。旦那が『ちよこれいと』を食べたって教えた時に。」


「へぇ。良かったですね。美味しかったでしょう、チョコレート。」
殿の世界にはあの様に美味なものが沢山あるのでござろうか。幸村、少々羨ましく思いまする。」
「あははっ。多分この世界にも存在はしてると思いますよ。ただ日本に伝わっていないだけで。」
  はそう言うと、チョコレートについて自分の知っている事を説明した。遠い外国で生まれた食べ物であると言うことと、日本に伝来したのはこの時代よりもずっと後の事であること。もっと色々な種類がある事。
 話を聞いて素直に感心する幸村だったが、次の の一言には慌てた。
「私の世界の風習で、バレンタインデーとホワイトデーと言うのがあって、女の人はチョコレートを贈って、男の人はお返しにキャンディーとかクッキーとか贈るんですよ。」
「お、お返しでござるか!?」
「ええ、でも……。」
 続く の言葉を遮り、幸村は『きゃんでぃ』と『くっきい』が何であるか尋ねた。
「えーと、キャンディーは飴……ですね。クッキーは小麦粉で作った焼き菓子で、この時代の食べ物だと何が一番近いんだろう……?」
 悩む を尻目に幸村は「飴、飴!」と叫んで佐助を探しに行ってしまった。


「…買えば良いじゃねぇか。何で作ろうなんて思うんだよ。」
 呆れて俺がそう言うと、佐助が同意しつつも幸村を弁護した。
「旦那、一文無しなんだよ。と言うか、俸禄の管理は旦那じゃないし、甲斐にいても奥州でも旦那が金を払う必要なんて無いから。買物担当は俺様だし。」
「…要するに、幸村に小銭を持たせると下らねぇ玩具だの菓子だのに使っちまうから、渡してないって事だな。」
「はっきり言うと、そう。」
「ひ、酷いでござるぅぅ。」
 酷かろうが何だろうが事実は事実だ。
「だが 殿のみならず、 殿にも世話になっている以上、何か贈らねば幸村の気が済みませぬ。それで飴なら作れるかもと思い、厨を借りたんでござる。」
「で、貴重な砂糖をたんまり使った挙句に焦がしてダメにした、と。」
「め、面目無い……。」
 小さく縮こまる幸村。それでいて縋るような目で俺を見る。
 そんな目で見てもダメだ。そう思いつつも何だか幸村の頭と尻に犬の耳と尻尾が見える気がする。本当に『わんこ』だな、こいつは。
 小さく舌打ちして1回幸村を小突く。
「仕方無ぇな。これ以上貴重な砂糖を無駄にされたくねぇ。俺が手伝ってやるから、お前はその辺の奴捕まえて、澱粉貰って来い。」
「で、澱粉でござるか?」
Yes、hurry up!
 幸村が出て行くと、今度は佐助に使っていた鍋と箸を洗う様に言う。
「中身はどうする? 捨てちゃう?」
「いや、水足しゃどうにかなるかも知れねぇ。取れる様なら皿にでも取り分けといてくれ。」
「はいはい、っと。」
 固くて取り難いとか言いながら何とか鍋から塊を取り出す事に成功したらしい。今度は鍋を洗い始める。
 その間、俺は必要な道具を取り出してさっさと準備を進め、幸村が戻る頃にはすっかり用意が整っていた。


 何とか出来あがった飴を持って、俺と幸村、それに佐助が の部屋へ向かう。
「おや、お揃いでどうしたの?」
殿、いっ、何時ぞやは『ちよこれいと』を有難うでござった! これはほんの礼でござる!」
 幸村が に作った飴を押しつける。
「何だか良く判らねぇがChocolateを貰ったら飴を返すんだってな。俺も、ホレ。」
 俺からの飴を受け取ると、 は一瞬困惑した顔をした後、思いきり笑い始めた。
「あーっははははっ!  ちゃんが言ってたのってこれか! や〜、ありがとありがと。Thanks。ど、独眼竜までくれるんだ。」
「貰ったからな。…何で笑うんだよ。」
 笑い続ける が困った様に答えた。
「済みません、政宗さんに幸村さん……私の説明が足りなくて……あのー、ホワイトデーって言うのはですね……。」
 困り顔で説明する が言うには、そもそもバレンタインデーとは何かと言う説明から始まって、説明が終る頃には幸村は真っ赤になって「は、破廉恥でござるー!!!」と叫んで走っていってしまった。
 …愛の、告白の、返事??
 幸村と反対に青くなった俺の脇で、未だに は笑い続け。ひとしきり笑い終わると、俺達の作った飴を一つ口にした。
「んー、苦いけど、美味しいよ? ありがとね。」
 幸村が焦がした砂糖の塊を少しだけ入れた飴だったらしい。確かに苦味もあるが、厭な苦味では無い。


 この後、俺が幸村をWar Danceの餌食にしたのは言うまでも無い。


-----
男3人で飴を作る図。可愛いじゃん。(笑)
澱粉を希酸で糖化させると飴になるらしいです。どう糖化させるかは知りませんが。飴細工なんかにする飴です。水飴とか。キャンディは砂糖を煮詰めたもの。
幸村が作った焦がした砂糖は取り敢えず未だ加工が可だったらしい……。

MENUPAGE TOP

マシュマロ

  が台所で何か作っていたのは知っていた。ただ、それが何なのかサッパリで、あいつは自分が楽しければ簡単に秘密主義になる。と言う訳で、訊いても「ヒミツ。」の一言だった。
「アイツ料理なんか出来たのか。」
「まぁ私よりはまともな物が作れますね……。」
「いや、俺様としては ちゃんが作れないって方が驚きだけど。」
 政宗さんは が何を作っているのか大分気にしている様だ。特に幸村さんが手伝っていると聞いて、大分ご機嫌斜め。
 私はこっそり佐助さんに言ってみた。
「政宗さんて、何であんなに の事気にするんですかねぇ?」
「そりゃ……って、 ちゃん判らないの?」
 ビックリした顔で訊かれて、素直に頷く。
 いや、本当はちょっとだけ判っている。ただそれを私が信じたくないだけで。
 だってあの独眼竜政宗が、よりにもよってあの を、好……いや、これ以上は止めておこう。考えてる事がばれたら、私まで六爪流の餌食になる。それは厭だ。
「と、とにかく何を作ってるのか判れば良いんですけどねぇ。」
 そう呟くと同時に、台所から幸村さんの叫び声が聞こえてきた。
 何事かと思って行って見れば、そこにいたのは、何と。
「誰だ、手前ぇ!」
 政宗さんが叫び、佐助さんが手裏剣を構える。私はと言えば、何故この人が奥州にいるのかと疑問に思うだけで。そして が呆れた様にその人に向かって言った。
「わざわざ来たの? 教祖様。…こなくても良いのに。」
「私の サーン。今、愛に来ましたネー!」
「変換違うから。」
 ザビーが台所で と向かい合っていた。
 いきなり来たらしく、そりゃ幸村さんも驚いて叫ぶよなぁ、と思う。
「知り合いか。」
 物凄く不機嫌かつ怪訝そうに政宗さんが も余り関わりたくないのか、厭そうに頷いた。
「一応紹介します。九州で布教活動してる教祖様。はい、名前は?」
「私はザビーでース。あなたもザビー教に入信シマせんかー?」
「だから布教活動は止めろって。」
  はそう言いつつ、何やら包んでザビーに渡す。先刻まで作っていたのが出来たらしい。
「それ持って帰りなさい。布教活動は自分の城の中だけでね。OK?」
Sure……。」
「それと、この中身は1個づつしか入ってないから、ギレンとサスロとドズルとガルマにちゃんと渡すんだよ? 渡した後なら回収しても良いけど、渡す前に一人で食べたら怒るからね。」
「判りましたネー。ちゃんと、渡しまース。」
 ザビーはそう答えると、おとなしく帰ってしまった。…一体何をしに来たのかさっぱり判らない。政宗さんも私同様訳が判らないらしく、 に今のが何だったのか訊いている。
「この前、教祖様が にちょっと贈り物をくれまして。南蛮渡来の金平糖なんですけど。それのお返しにマシュマロなんぞを作ってあげてみました。」
「マシュマロなんて作れるの?」
「作り方は判ってるから。後は実践だけ。わんこにウスベニアオイの根を取ってきて貰ったり、色々手伝ってもらって。」
 そう言うとまだ残っているマシュマロを私たちに見せて、一つづつ渡す。幸村さんだけは何故か2個。ああ、また政宗さんの機嫌が悪くなる。
「拙者だけ2個でござるか?」
「手伝ってくれたから。」
 言いながら、自分も一つ口に入れる。
 毒ではないらしいと判断したのか、政宗さんたちも恐る恐るマシュマロを口にした。
「……変わった味だな……食感も何とも言えねぇ……。」
「何これどうやって作るの?」
 訝しげに呟く政宗さんと気に入ったのか作り方を尋ねる佐助さん。私も聞きたい。何でこんなのの作り方を知っているんだ。そう言うと、やっぱり は「ヒミツ。」と答えた。


「ところで、ギレンとガルマって……。」
「教祖様のとこのカラクリ教祖様の事。」
 何でそんな名前、と思ったが直ぐに気付いた。…ザビーだからザビ家の名前付けたのか……。


-----
すみません、これネタ的にメカザビーにザビ家の兄弟の名前をつけたってのをやりたかっただけなんです。内容はありません。(笑)

MENUPAGE TOP

クッキー

「クッキーと聞いて何を連想する?」
「…………Cookie?」
「………………………………パソコンが来る辺り、もうダメだよね……。」


-----
すみません、これもネタ……(爆)

MENUPAGE TOP

先にブログのコメントから。
----------
という訳で、ホワイトデーに纏わるお菓子の話、幾つか。


取り敢えず、このホワイトデー話はトップページにある期間中はフリーテキストです。いるかどうか知りませんが、お持ち帰りしたい方はどうぞご自由に。別に許可もリンクも要らないですが、サイトに掲示する場合は一応フリーテキストと言う事だけ明記しといてください。それだけ。
茄子姉はもれなく持ち帰ってサイトに掲示すること。(笑)それでバサラコンテンツ作ってください。(それが目当て。)
----------
また思いつきで書いています。それはともかく、この話書くにあたりホワイトデーに関して色々調べてみました。どうしてかと言うと、贈り返すお菓子の種類によって本命とか義理とかに分けられるとかそういうのを何処かで記憶していた気がして……どうも間違いだったようですが。
アメだと友達でマシュマロだとお付き合いOKだった気がしたんだけどなー。何処にもそんな事書いてないでやんの。別に良いけどね。
政宗が料理上手と言うのは周知の事実らしいんで詳しく書かなかったんですが、書いた方が良かっただろうか……。