２００１年国内オペラ公演集計

２００１年国内オペラ公演集計

２００１年についても、国内オペラ公演の集計をしてみました。ただし、前回同様、外来団体による公演は含んでいませんので、特に県別集計では０になってしまう県でも外来公演があった場合もありますので、ご注意下さい。

公演数集計の基準と限界は前回と同じく、次の通り。

「公演数集計の基準」

・外来公演は含まない

日本独自のオペラ上演という観点から。

・演奏会形式は含まない

私の個人的な考えで、演奏会形式は「コンサート」であって「オペラの上演」ではないと思っているから。一方で舞台形式であれば、多少のカットやオーケストラ編成の省略でも「オペラの上演」だと思うので含めている。

・作品別集計についての注意点

１回の公演で２作品、あるいは３作品上演された場合は地域別集計では１回になるが、作品別ではそれぞれの作品で１をカウントする。

同一作品を数多く上演する「こんにゃく座」は、集計値を狂わすので（恣意的で悪いけど）作品別では除外。それなら新国立劇場も同じだが、こちらは１作品で１０回を超すことはないので、参考値として内数を記した。

「公演数集計の限界」

平凡な会社員個人が集めた情報なので、２００１年に日本で上演された数の全てをつかみきれていない。特に地方都市や大学等での上演は把握しにくく、実態としてはもっと多く国内オペラが上演されているような気がする。

また、主催者などから直接得た情報でないものは、不十分な情報もあり、中には意に反して演奏会形式が混ざっていたりするかもしれない。

そういった、極めてプライベートな調査になっている。

Ａ．作品別オペラ公演集計（５回以上）

回数	新国	作品名	前年回数
２４		フィガロの結婚	１６
１５		コシ・ファン・トゥッテ	５
１４		ラ・ボエーム	６
１３	（５）	ドン・ジョヴァンニ	１６（６）
１２	（８）	トゥーランドット	５
１１	（５）	仮面舞踏会	圏外
１０		こうもり	９
９	（６）	ナブッコ	圏外
８		魔笛	２２（５）
	（６）	イル・トロヴァトーレ	５
	（６）	リゴレット	９（６）
７		メリー・ウィドウ	１２
	（５）	蝶々夫人	圏外
	（６）	ドン・カルロ	圏外
６		カルメン	２０
		夕鶴	６（３）
		愛の妙薬	圏外
	（６）	ラインの黄金	圏外
５		ヘンゼルとグレーテル	１２
		椿姫	１２
		マクベス	圏外
		ホフマン物語	圏外
		ドン・パスクワーレ	圏外
前年ランクインの圏外落ちトスカ、エフゲニー・オネーギン

（括弧）：回数の内、新国立劇場での上演回数

概観

まずは、前回ランクインした作品は１６なのに、今回は２３と大幅増。普段それほど上演されない作品を、どこかの単発で終わらずに、２団体以上が取り上げることが多かったためと思われる。そういった作品のひとつに、牧野由多可の「黒塚」があって、東京と名古屋で合わせて４回上演され、あとひとつでランクインするところであった。

ヴェルディ・イヤーの特徴としては、代表作や隠れた名作が多い作曲家だけあって、上演作品が分散され、６位にようやく「仮面舞踏会」が入った。しかし、それ以下に６作品も入っているし、圏外にも「アッティラ」「二人のフォスカリ」「偽のスタニスラオ」等があって、やっぱり２００１年はヴェルディが多かった。

そのヴェルディのなかで「椿姫」が、前回より激減するという予想外の現象も起きている。もっとも、グローバルな視点だと、他のヴェルディ諸作品に対しては、これぐらいが妥当だということかもしれない。

さすが「フィガロの結婚」は堅調である。「ドン・ジョヴァンニ」と「魔笛」が減少した代わりに、「コシ・ファン・トゥッテ」が増加して、モーツァルト４作品の強さは、ヴェルディ・イヤーにも動じなかった。

「ラ・ボエーム」が大幅増だが、これは前回が極端に少なかったためであって、これぐらいが妥当だと思われる。前回２０００年はトスカ・イヤーで「トスカ」が多かった分、「ラ・ボエーム」があおりを受けていたのだ。その報いで「トスカ」は今回、一気に圏外落ち。

Ｂ．地域別オペラ公演集計

概観

私の思うところ、ここに載っていない県でも、地域のオペラは上演されているはずだし、全部把握するのが困難であることを考えれば、作品別と同様、５回以上のランクにあるところが、実質的に考察対象になる。

2002.1.13