時間論Ⅱ


補足Ⅱ

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作成日 2002/3/30

よく、「我々は現在を見ているのではない。光がものに当たり反射して眼にとどくまで
時間がかかるから、過去を見ているのだ。」とか、「まだ眼にとどいていない光は未来
で、通り過ぎた光は過去だ。」などという人達がいる。しかし、それは違うと思う。

私にいわせれば、「現在の」とは「実際に存在し、動いている」という意味である。
考えてみると、彼らが述べていることは、「見ている光」も「まだ眼にとどいていない
光」も「通り過ぎた光」も実際に存在していることを前提としている。つまり、「見て
いる光」も「まだ眼にとどいていない光」も「通り過ぎた光」も実際に存在している
「現在の存在」ということになる。

本来の「過去」とは、「見ている光」にとって、例えば、「反射する前のその光」、「反
射直後のその光」などが、「まだ眼にとどいていない光」にとって、例えば、「さらに
もっと遠くにあるその光」が、「通り過ぎた光」にとって、例えば、「通り過ぎる直前の
その光」がそれに当たる。そして、どれも、もはや実際に存在していないのだ。

「現在の存在」とは、「実際に存在し、動いている『存在』」ということになる訳だが、
同じ単語が繰り返されるのは、問題がそれだけ非常に根源的であるからだろう。




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