汎神論
pantheism
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作成日 2003/5/3
これは世界あるいは自然の一切は神であるとし、神と世界あるいは自然との間に質的な対立を認めない世界観的見地である。その場合、神に力点を置いて神を世界の一切の現象の内在的原因とし、以て世界は唯一無限な根元的実在である神の有限な様態の総和にすぎぬとする見地と、世界に重点を置き、世界が唯一の実在であり、実在するものの総体が神にほかならぬとする見地とがある。前者は世界を神の現われと見ることによって、神の超越的性格を尚保持しているが、後者では上記の立場を真に徹底させて神の超越的性格を払拭し、神を世界あるいは自然の裡に働く法則そのものとみるのである。前者はスピノザ哲学に、後者は唯物論にその典型を見出す。尚、自然を生命に充ちた統一として崇めるロマン主義的思想も汎神論に加えることができる。一般に、汎神論は宗教的神秘主義の理論化ないし
世俗化された形であるといえよう。
現代哲学事典 山崎正一+市川浩編 講談社現代新書 より
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