法則
law
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作成日 2003/1/25
「もろもろの事物・現象のあいだの、および、同一の事物・現象のもろもろの側面のあいだの、一般的・必然的・本質的なつながり、ならびに、もろもろの事物・現象の生成・発展・消滅の、および、新しいものへの転化の、必然的な道すじをいう。前者を<構造法則>といい、後者を<発展法則>ということもある。人間は、実践の過程で自然と社会の事物・現象についての知識を手に入れ、これを基礎にして思考の働きによって法則を認識していく。それは、事物や現象のさまざまな差異や変化を通じてつらぬかれ、程度のちがいはあってもくり返される、持続的なものである。たとえば、物体の自由落下の法則がこれをしめしている。また、たとえば、資本主義社会の経済法則とは、どの資本主義社会にも共通に存在しくり返される一般的・必然的・本質的なもろもろの経済上のつながり、資本主義の生成・発展・消滅の過程をつらぬきその社会主義への転化を規定している必然的な道すじのことである。法則は、主観的観念論の主張するように人間の知性の秩序づけ活動によって世界のなかへもちこまれるのではなく、人間の意識とは独立に存在する客観的なものであるが、ひとたび認識されれば、人間の実践的活動のなかで有効に適用される。このような客観的な法則そのものと、人間の意識におけるそれの反映である法則命題ないし科学の法則とを、区別しなければならない。<物理学の法則>・<経済学の法則>などという場合には、後者の意味においてである。どの科学も、法則認識をめざしその対象領域の諸法則を仮説や命題や理論のなかで多少とも適切に反映することに成功しているかぎりにおいてだけ、ほんものの科学である。
この反映は、科学の発展とともにいよいよ深まり全面的になっていくのである。」
哲学辞典 森 宏一編集 青木書店 より
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