永劫回帰


哲学詩

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作成日 2008/2/6

永劫回帰



「神は死んだ」

とニーチェは言った。

宇宙を構成する究極の粒子があるとしよう。

宇宙は、究極の粒子は有限だ。

そして、究極の粒子の組み合わせも有限。しかし、時間は無限。

即ち、この宇宙、世界、現在は、同じことの繰り返しだという。

今、この一瞬、現在、世界は、無限に繰り返される。

こんな絶望的なことがあろうか。

苦しみの一瞬、その苦しさは増し、喜びの一瞬、そのうれしさはなくなる。

「神は死んだ」

とニーチェは言った。

すべては同じことの繰り返しだ。

生は死となる。



だが、友よ。

注意深く考えよう。

エントロピーの法則を持ち出すまでも無い。

究極の粒子があって、

その数が有限であっても、

その組み合わさり具合、

組み合わさり加減は、無限通りある。

友よ、注意深く考えよう。

ニーチェの絶望的な真理には、もはや穴が開いた。

神は、よみがえる。



宇宙、世界、現在は、

この一瞬は、一回のみ。

常に新しい。

その可能性は、大いにある。

友よ。

神に祈ろうではないか、

その可能性を。

神は、よみがえる。

紺碧の空、真白き雲、輝く太陽。

おお、世界よ。

苦しみは、よき思い出となり、

喜びは、さらに輝きを増す。

友よ。

神に祈ろうではないか。

その真理を。その可能性を。

絶望的な永劫回帰の穴は開いた。

その呪縛はとかれた。

神はよみがえる。

辻褄あわせの超人は要らない。

人間は人間でいい。

人間として人間らしく進化すればいい。



ニーチェは死んだ。

しかし、

ニーチェの亡霊は言う。

宇宙は呼吸する。宇宙は振動する。

膨張収縮を繰り返す。

しかも、その膨張収縮は、

毎回、同じなのだ。


神は再び死ぬ。

ニーチェの亡霊はあざ笑う。

「同じことの繰り返しなのさ」。

振動する宇宙の膨張収縮は、

毎回同じなのか。毎回異なるのか。

「結局、同じことの繰り返しなのだ」。

ニーチェの亡霊は笑う。

神は再び死ぬ。



だが友よ。

注意深く考えようではないか。

膨張収縮の繰り返しは、

毎回異なる可能性もあるはずだ。

友よ。

祈ろうではないか。

その可能性を。

その真理を。

しかし、もし、同じことの繰り返しだったら・・・。

同じことの繰り返しに耐える辻褄あわせの超人など要らない。

もし、宇宙が同じことの繰り返しだったなら、

それを打ち破る超人を目指そうではないか。

友よ。

信じようではないか。

宇宙を、世界を、人間を。

そして神を。

神とは、宇宙だ。

人間は神の一部だ。

同じことの繰り返しを打ち破ることを目指そうではないか。

そのために、この世の真理を究めようではないか。

人間が、同じことの繰り返しの宇宙に魂を吹き込む。

宇宙の一部が、宇宙全体に魂を吹き込む。

いつの日か、

宇宙を常に新しくするのだ。



紺碧の空。真白き雲。輝く太陽。

おお、世界よ。

おお、神よ。

おお、この新しきものよ。




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