ロック


Locke

戻る

作成日 2002/6/1

「Locke,John 1632~1704 イギリスの哲学者。イギリス経験論哲学の祖。かれは、その国の名誉革命(1688)による王政復古期に属し、そのたたかいに哲学者、経済学者、政論家として参加した。かれの認識論では、すべての知識は観念(ideas)の複合であり、観念は経験によって白紙の心(タブラ・ラサ)に書きこまれる。神、実体などという生得観念なるものは存在しない。観念のうち、物体の延長、形態、固体性などは、物体固有の性質に 正確に対応している<第一性質>の観念であり、これにたいして、色、香などは正確な対応の保証のない主観的な<第二性質>の観念である。観念を生む経験には外官の知覚である感覚と、内官の知覚である内省とがあるが、知識の真理性は、もっぱら観念相互の直覚的(<我>の存在など)または論証的(神の存在や論理的命題など)な一致のことであり、これにくらべて感覚的知識は真理性にとぼしいとする。唯物論の反映論の考え方ではなく、不可知論に傾いている。 このような、かれの不徹底さから、相矛盾する二つの道、すなわちバークリ、ヒュームの主観的観念論と、フランス唯物論とがわかれてでた。政治論ではイギリス名誉革命の代弁者として、制限された王権とブルジョア議会との調和をはかる立場から社会契約説をとり、人間の自然状態を秩序ある相互扶助の状態とした点、および労働投下による所有権の成立を自然権のうちにかぞえている点で、先行者のホッブズとは異なり、ブルジョア的所有の擁護が明確にうち出され、 また一定限度内の革命権をみとめている。かれの思想の啓蒙的影響は大きく、フランス人権宣言やアメリカ独立宣言のなかに生かされた。」

哲学辞典 森 宏一編集 青木書店 より




戻る